2018/2/22木曜日 日刊工業新聞にて掲載されました

適正在庫の広場 TSCブログ
2018/02/22

【発注点容易に割り出し】【日刊工業新聞 2018/2/22木曜日 掲載されました】

本日の日刊工業新聞にて、中小企業向け在庫管理システム「APIM de 発注点」が掲載されました。

テクニカルソリューションズ(東京都品川区、勝呂隆男社長、03-6420-3952)は、中小企業向けの在庫管理システム「APIM (エイピム) de 発注点」を市場投入した。
適正在庫になる量を算出し、発注が必要になる量である「発注点」を簡単に割り出す。低価格に抑えながら、エクセルを使った簡単な操作で使えるようアレンジした。
価格は月額4万8000円(消費税抜き)。初年度50本の販売を目指す。

ソフトを起動し、日ごとの出荷数や販売数、注文から仕入れまでにかかる日数など必要な数字を入力すると、すぐに発注点が割り出される。この発注点で発注する体制にすれば、無駄がなく欠品も起こさない在庫を維持出来る。在庫管理者の負担を大幅に減らせるという。テクニカルソリューションズは従来、大企業向けに多機能の在庫管理システムを販売してきた。

発注点管理に特化した簡易モデルに刷新することで操作性を上げ、コストを抑えた。そのため、中小企業でも手軽に導入できる。

勝呂社長は「適正な在庫を持つ体制が整えば交渉やかけひきの時間を減らせる。素材メーカーから組み立て現場まで、サプライチェーン全体に広めたい」と話している。

♢APIM de 発注点の詳細はこちらから♢
http://www.tscinc.co.jp/apim%20de%20hatyu.html

 

新しい在庫理論が管理実務を変える

適正在庫の広場 TSCブログ
2018/01/12

 

 

従来の在庫理論が使えない理由

–九十年代の中頃から日本企業にもi2テクノロジーズやマニュジスティックスなどの需要予測エンジン(APS:Advanced Planning and ScheduLing)が普及し始めています。本来、需要が予測できれば、在庫はなくなるはずです。

「ソフトウェアベンダーの売り文句を真に受けて誤解している方が少なくないようですが、基本的に需要は予測できません。それが在庫管理の前提です。確かに理屈としては予測が100%当たれば在庫はゼロになる。そんな発想から、販売計画に対する達成率で営業部門を評価するという取り組みも一部では見られますが、そんなことをすれば営業部門は縮小均衡に陥ってしまう。逆に予測がどれだけ当たらないかを予測して、それに応じた在庫を持つというのが基本的な在庫理論の考え方です」

–しかし実務家の多くは在庫理論を使っていません。

「従来の在庫理論の理論、私は『古典OR(オペレーションズ・リサーチ)理論』と呼んでいますが、これは40年前に確立した理論です。そのため現在では使い物にならなくなっている部分がある。流通在庫にはそれなりに当てはまるものの、生産在庫には使えない。しかし、それ以外に方法がなかったので、実務家はだましだまし使うか、あるいは『理論なんて使いものにならない』として切り捨ててきたのが実情です」

–使い物にならない部分とは?

「1つはコンピューターによる在庫管理に適応していないことです。古典OR理論はMAP(Material Requirements Planning:資材所有要計画)が登場する以前に開発された手法で、これを現在のコンピューター化された生産管理システムに適用して安全在庫を計算すると、過大な値になってしまう」

–MRPというのは、製品を部品に展開して必要な在庫量を計算するシステムのことですね。そして現在のERP(Enterprise Resource Planning:統合業務パッケージ)もMRPベースになっている。

「そのために現在のERPも、在庫水準の設定は担当者任せになっています。ERPやAPSには在庫基準値を入力して在庫を適正な在庫基準値を設定する理論がないため、そこは実務家が経験的に推測値を入力している。その結果、推測値が実際の適正水準より大き過ぎた時には在庫過多、小さすぎると欠品が発生するといった事態を招いています。」「また古典OR理論は生産に必要なリードタイムや顧客の要求する納品のリードタイムが一定であることを前提にしています。しかし、実際には生産も顧客の求めるリードタイムも変動するのが普通です。さらに月に1〜2回とか、週に1回といった間欠的な需要にも古典OR理論た対応していない」

 

【ITに経験と勘は通用しない】

–それに対して、勝呂さんは昨年9月に発行された著書「適正在庫の考え方・求め方」(日刊工業新聞社)のなかで新しい在庫理論を提唱されていますね。この手の専門書としては異例の売れ行きとも聞いています。

「従来の在庫管理の教科書は在庫理論について1〜2項しか割いていませんでした。単に計算式を紹介して、こういう考え方もあるけど、実際には勘と経験が必要ですといった事が書かれていたわけです。『適正在庫〜』では、その部分を一冊に拡大して論じました。その計算式で適正な安全在庫の水準が分かるのかということから、計算式を使って実際に在庫が減らすにはどうしたらいいのかという事を丁重に書いたつもりです」「そのうえで古典 OR理論をERPやAPSに適合するように修正した新しい在庫管理の手法として、私の開発した『 APIM(Advanced Production & Inventory Management :先端的生産在庫マネジメント)』の考え方を紹介しました。『APIM』は現在、特許も出願中です」

–APIMの考え方を簡単に説明していただけませんか?

「完全な受発注の場合、在庫は必要ありません。在庫が必要になるのは見込み生産のときです。しかし実際のビジネスでは受注生産と見込み生産で、きれいに分けられるケースはまれです。顧客の要求で納期よりも聖戦のリードタイムが長い時に、見込み生産による在庫が必要になるわけですが、要求納期も生産リードタイムも常に変動します。そのため受注生産と見込み生産が混在しているのが多くの会社の実態だと思います」「そこで APIMでは『見込み生産比率』によって受注生産分を安全在庫の計算から除く。そして、顧客の要求する納期と生産リードタイムのタイムラグ(実効リードタイム)から安全在庫の水準と発注点を求めるというアプローチをとります。これによって理論的に適正在庫を計算できるようになります」

 

【なぜ日本企業の収益性は低いのか】

 

–そもそも、勝呂さんが在庫理論に注目した理由は

 

「在庫は組織と組織の間に溜まるものです。それをコントロールするには、誰もが納得できる理論が必要です。理論がないと、力の強い組織の言いなりになってしまう。その組織だけに都合の良いことになってしまってしまう。それを避けるためには普遍的な価値を持つ、あるいは理論的に正しい数値を提示する必要が有ります。しかし、これまで日本には理論を受け入れる土壌がなく、理論そのものが使えなかった」

 

–そもそもこれまで日本企業は在庫を減らすことに、それほど重きを置いてこなかったのでは。

「企業によって温度差があります。トヨタは何十年も前からそれに取り組んできました。私が以前に勤めていた東芝もバブルが崩壊するまでの80年代後半からトヨタ生産方式の導入を目的とした在庫削減運動に徹底して取り組んでいました。そして最近、キャノンやソニー、 NECなどが本格的に生産革新に取り組むようになって、ようやく在庫の問題が経営者レベルで脚光をあびるようになってきた。しかしいまだにそうした意識のない会社の方が多いのが、日本の会社の実情だと思います。」

 

–経営者が気にしているような経営指標には、在庫削減の効果があまり鮮明には現れてきません。それも影響しているのでは。

「在庫の評価指標が未整備だという問題は確かにあります。それでも長い目で見れば在庫管理はその会社の収益力に影響してくる。今の日本の製造業の最大の課題は競争能力と収益力が一致しないことです。つまり、競争力があるのに儲からない。『強い工場、弱い本社』などと言われないように、現場はすごいけれど収益力はないという会社がいっぱいある。実際、エクセレントと言われている欧米の製造業者でも、現場は日本に比べるとはるかに下です。ところが会社の収益力ははるかに上。この違いは何なのか。やはり生産管理や在庫の適正化のようなシステム的なアプローチの違いだと私は考えています」

 

 

【新しい在庫理論が管理実務を変える】

月刊/ロジスティクス・ビジネス 特集/在庫削減の上手な会社
2004年2月

 

九州で見たトヨタ生産方式

適正在庫の広場 TSCブログ
2018/01/10

 

【九州で見たトヨタ生産方式】

(株)ティーエスシーコンサルティング 代表取締役
技術士(経営工学部門)、中小企業診断士 勝呂隆男

 

 

「在庫は悪だ」という思想は、今日では経営者にとっても工場管理者にとっても常識になっているようである。かつて在庫は、企業の財産であり、必要な資材を大量にかかえ、製品を倉庫の中にぎっしり持つことが企業の夢であった時代を考えると隔世の感がある。

在庫を多く抱えることは、それだけ多額の資金を眠らせることになり、経営効率を下げる結果となる。キャッシュフローの低下は経営体質を悪化させ、企業価値の下落を招くことにもつながる。また、造りすぎによる在庫は、陳腐化によるリスクを招くと同時に様々な効率低下の原因となる。

 

この考え方の源流をたどると、トヨタ生産方式に行き着く。トヨタでは、次のような「7つのムダ」ということを言っている。①造りすぎのムダ②手持ちのムダ③運搬のムダ④加工そのもののムダ⑤在庫のムダ⑥動作のムダ⑦不良をつくるムダ

 

この中で最もやってはいけないムダが、1番目の造りすぎのムダであり、その結果生まれるのが5番目の在庫のムダである。 トヨタの生産方式は、第1石油ショック時にその真価を発揮し、これをキッカケに世界中の企業が注目するようになった。今までは多くの企業が注目するようになった。今では多くの企業がその導入を試みてる生産方式である。

数年前、九州にあるトヨタの工場と別の自動車メーカーの工場をまとめて見学する機会があった。自動車メーカーの製造現場を比較することで、トヨタ生産方式の神髄を理解しようとする試みである。

そこで何を見たか?トヨタでは工程間の仕掛在庫を堂々と持って生産をしていたのです。疑問をぶつけると、「自分たちで考えて必要と判断したら、必要な在庫は積極的に持つようにしている。以前、同じ指摘をある学者から受けて、トヨタ生産方式の破棄と批判されたことがあるが、何もわかっていないのはそう言う外部の学者の方である」という答えが返ってきた。

同時に見たもう一社の工場は、トヨタ生産方式を導入しており、工程間の仕掛かりは持たず、しかも製造工程の自動化はトヨタより高度に進められていた。現場の作業員の動きも、トヨタよりもずっと速かった。しかし、当時の収益はトヨタの方がずっと良かったのである。 トヨタ生産方式を生み出した元祖トヨタと、これを導入しようとする会社の違いについて考えさせられた。

 

トヨタ生産方式を研究して導入している企業にとっての「あるべき姿」は、お手本であるトヨタのやり方にすぎない。それは現場の方針ではなく、導入を指導する部門や幹部の考え方や方針であることが多いようである。ところが、元祖のトヨタでは「現代の問題」が先生であり、現実的・合理的に問題解決を行っているのである。例えば、かんばん方式は問題解決の結果が形を示したものにすぎない。肝心なのは現実の問題の解決策を突き詰めて考え、常識にとらわれずに方策を実行していくという企業文化ともいうべき行動様式である。

 

トヨタのやり方に学ぶ企業はこれからも増えていくだろう。しかし、形だけ真似るだけではなく、現実の問題に学ぶという姿勢こそ導入すべきものである。

 

創造のひろば 九州生産性ニュース NO.103
平成15年5月20日発行 財団法人 九州生産性本部