第35回 確率理論のほんとうのところ

今月号は、適正在庫算出技術APIMの基礎をなす確率理論のほんとうのところを、わかりやすい例を用いておさらいをしようと思います。

 

<5人仮説:友人は5人いると困らない>

一緒に食事に誘えるような友達、デート相手(^_^)は、男女を問わず5人ぐらいはいたほうがいいよ!という仮説です。週刊プレイボーイの元名物編集長の島地勝彦さんの提唱する仮説です。

なるほどこれは面白いと思い、数学的に証明しようと思い立ちました。以下は、その詳細です。

「一緒にごはん食べようよ」と誘ったときに相手がそれを受けてくれる確率が1/2だとします。すると、だれか一人でも自分と一緒にご飯食べてくれる相手が見つかる確率は次のように計算されます。

声をかけられる相手の数が1人の時は、1/2=50%ですが、声をかけられる相手の数が2人になると、なんと75%に跳ね上がります。その計算方法はこうです。

相手がAさん、Bさんの2人だとすると、場合の数は次の4通りで、それぞれの確率は次のように計算されます。

① A,B共にOK

その確率=1/2×1/2=1/4

② AはOK、BはNG

その確率=1/2×1/2=1/4

③ AはNG、BはOK

その確率=1/2×1/2=1/4

④ A,B共にNG

その確率=1/2×1/2=1/4

上記の4通りの場合のうち、AさんでもBさんでもどちらか1人あるいは2人ともOKで、一緒にごはんを食べてくれる相手が見つかる確率は、①+②+③となりますので、1/4+1/4+1/4=3/4=75%となるのです。

この考え方で、声をかけられる相手の数を増やしていって確率を計算すると、次のようになります。

1人の場合:50.0%

2人の場合:75.0%

3人の場合:87.5%

4人の場合:93.8%

5人の場合:96.9%

6人の場合:98.4%

7人の場合:99.2%

ただ1人の相手の確率を高める努力よりも、相手の数を増やす方が効率が高いことがわかります。さらに5人くらいまでは相手の数を増やすにつれて確率は大きく増えるのですが、それ以上になるとあまり増え幅が大きくないので、5人という数の妥当性が納得できます。

こんな風に応用すると、確率理論の面白さがおわかりいただけたかと思います。まぁ、5人もデート相手がいたらそれはそれでメンテナンスに苦労が絶えないかとは思いますが(笑)。

 

<サイコロ唐揚げ:いくつ用意すればいいか>

次はいよいよ確率分布の例です。

神奈川県にあるJR逗子駅の近くの居酒屋さん「来楽」に本当にあるメニューです。唐揚げを注文するとサイコロ2個とどんぶりが運ばれてきて、振って出た目の合計数分の唐揚げが出てくるというものです。結構人気メニューです。

この場合、出てくる唐揚げ個数の確率は次のように計算されます。

個数  確率            累積確率

2個:1/36                 2.8%

3個:2/36=1/18       8.3%

4個:3/36=1/12     16.7%

5個:4/36=1/9      27.8%

6個:5/36               41.7%

7個:6/36=1/6      58.3%

8個:5/36               72.2%

9個:4/36=1/9      83.3%

10個:3/36=1/12  91.7%

11個:2/36=1/18  97.2%

12個:1/36     100.0%

右側の累積確率というのは、2個以下、3個以下……11個以下、12個以下となる確率です。

もし仮に、サイコロを振って目が出たらすぐに唐揚げを出さなければならないとしたら、この値を計算しておくと、お店としては何個唐揚げを作っておけばいいのかがわかります。お客さんがどんな目を出そうと対応できるようにするためには、累積確率100%の個数である12個を用意しておけばいいのです。11個用意しておけば、97.2%の確率でお客さんにご満足いただけます。

実は、これが安全在庫を考えるときのサービス率で、100%からこの値を引いた値が許容欠品率となるのです。在庫理論では、需要量の確率分布を基本に考えていきますが、この唐揚げの個数とその確率、累積確率がまさに確率分布なのです。需要量がサイコロで決まるなら話は簡単ですが、実際の需要分布ではサイコロの形も個数も未知数なので、難しくはなりますが……。

 

身近な例を使って、確率理論というすぐれた考え方の楽しみ方、利用方法を紹介してみましたが、いかがだったでしょう。「5人仮説」のような面白仮説は身の回りにたくさんありますので、探してみてください。

第34回 営業サイドから見た適正在庫

今回は、本誌「工場管理」の読者からは少し遠くにいる営業部門の方々を意識して書いています。なぜなら、欠品の本当の意味をきちんと理解しているのは、おそらく現場の営業マンだけではないかと思っているからです。

在庫管理の教科書をひもとくと、欠品がなぜいけないかの理由として売り逃しによる機会損失という言い方をよくしています。しかし、この発想はいかにも自己中心的です。在庫があれば売れて儲けになっていたであろうところ、在庫がなくて売れなかったから儲け損なったという発想です。 これでは、儲け損ないであって損失が発生したという考えにはいたっていません。

営業の方々と在庫関係のお話をしていると、親しくなるにつれてだんだん「欠品を起こした後に大変な思いをするのは自分たちなのだ」という話が出てくるようになります。公式の会議では、顧客にご迷惑をかけてはいけないという言い方になるのですが、本音のところでは自分たちが面倒な仕事をしなくてはならなくなるのだといったところです。

これが、欠品の弊害の本当のところなんだなぁと思いました。儲け損ないなどというものではなくて、やらなくてもいいムダな仕事を増やして損害を発生させるのが欠品だったのです。こんな視点で欠品について考えてみたいと思います。

<欠品で顧客を失う>

品切れは、顧客との間の信頼関係を傷つけることになります。食べたいお菓子がありませんでしたならまだ許されますが、頭痛薬が品切れしていたら健康被害をもたらし、顧客にご迷惑をおかけすることになります。そのお店には二度と行かなくなるでしょう。欠品は顧客を失うことにつながるのです。

顧客との直接の取引をしている場合に、欠品あるいは納期遅れを起こしたら、担当営業は飛んでいって謝罪しなければなりません。ご迷惑がかからないように代替品の調達に走り回ったりして、多大な手間と時間を割かなくてはなりません。いやな思いもしなくてはなりません。一度ご迷惑をおかけすると次の取引から立場が悪くなり条件が悪くなることも覚悟しなければなりません。こうなると、売り逃しの儲け損ないどころか、追加費用は発生するし将来の損失も招くはで、大変な大損害となるのです。

以上のような事を骨身にしみて理解しているのは、営業マンなのです。だから在庫問題の解決には必ず営業部門の参画が必要になります。在庫適正化活動の中でも、在庫を削減する局面では営業部門の同意を得てから進めるというのは鉄則中の鉄則です。

<過剰在庫で弱みを握られる>

在庫を持ちすぎて商品がだぶついていると、営業的な弱みになることがあります。賞味期限の定められた商品ですと期限を過ぎたら破棄処分にする必要がありますし、そうでなくても技術革新や競争激化による陳腐化リスクを考えなくてはなりません。

そうなると販売見込みのミスなどによって過剰在庫を抱えることになってしまうと、その在庫を早くなんとか売りさばかなければならないという心理的圧力が発生します。安売りをせざるを得ないことになる可能性もありますし、その他にも種々の取引条件で不利を飲まざるを得なくなることもあります。要は、在庫がだぶついていると相手に足元を見られるようになるというところです。

このような過剰在庫が営業的な弱みにつながることも、現場の営業マンがいちばんよく知っているのだと思います。

じゃあ、在庫が逼迫していると売り手の立場が強くなるのなら、品薄状態を積極的に作り出したらいいのではないかと考えられます。実際、アパレル業界では、売り切りゴメンとでもいうような方式をとっているところがほとんどです。初回ロット生産だけで、追加生産は原則として行わないとする方式です。アパレル以外でも、大昔のパイオニアが音響製品でその方式をあえてとって、マニアの間に品薄感を醸成し、希少価値の演出を行っていたと聞いたことがあります。

しかし、これこそ機会損失であり、事業として縮小均衡の罠にはまってしまう危険性をはらんだ戦略であるといわざるを得ません。

 

今回は、いつもとはちょっと違った視点で、欠品と過剰在庫の弊害について考えてみました。欠品は儲け損ないどころか損害発生であるということと、過剰在庫は営業的な立場を不利なものにしてしまうということでした。立場を変えて別の視点から考えることは大事なことですね。

第33回 方法論ということ

STAP論文のことなどがあり、方法論について考えてみました。今回の騒動で、科学研究では研究過程での手続きがしっかりしていたかどうかを問われるのだということを再認識したからです。

科学研究の方法論は、まず仮説を立てて、それを実験で検証するというのが大原則ですが、適正在庫を実現する技術開発の場合はどうだったのかなぁと振り返ってみました。

企業は生き物ですから人体実験をするわけにはいきません。医学では人体実験の前にマウスなどで動物実験をおこなっています。

適正在庫算出技術APIMの開発では、まず仮説を立てて、それを数式化し数学的な論理検証を行い、次いでコンピュータシミュレーションによる実験を繰り返し行いました。コンピュータシミュレーションは2段階に分かれており、乱数によるモンテカルロシミュレーションと、実需要データを用いた数値シミュレーションです。

次に示す数式は、APIM研究の初期段階で開発された安全在庫と発注点の計算式で、日本経営工学会誌にも査読論文として掲載されたものです。 論文のタイトルと概要も示しておきます。

※編集中※

ただし、mは調達期間Tの種類を表している添え字i (i=1,2,…)が(3)式を満たしているときに決まる値である。

※編集中※

ここで、

※編集中※

変動調達期間安全在庫
変動調達期間発注点
n種類ある内のi番目の調達期間の長さ
Tの発生比率
許容欠品率
(3)式により定義された限界調達期間

※編集中※

とする。

「発注点方式における調達期間の変動分布を考慮した安全在庫と発注点の設定方法に関する研究」 勝呂隆男、黒田充

本研究では、発注点方式における安全在庫と発注点を,調達期間の変動分布を考慮して理論的に設定する方法に関する研究を行う。現実の在庫管理においては多くの場合調達期間が変動し,一定の値をとることは希である。しかし、従来の研究では調達期間を一定として扱っているため調達期間の変動が大きい場合には安全在庫が過多となり在庫の増大を招いている。調達期間の変動を離散確率分布としてとらえて調達期間中の需要量変動を標準偏差の直接計算により求めることで調達期間の変動分布を考慮した安全在庫を理論的に算出する方法を提案し、数値シミュレーションにより有効性を確認する。欠品率と平均在庫水準により検証する。

(日本経営工学会論文誌 Vol.55 No.2)

 

この研究、(1)の数式を演繹的に証明するというがっちりした数学論文だったのですが、あとで間違いがあることに自分で気がつきました。論文にまとめる課程のコンピュータシミュレーションまでは順調だったのですが、ソフトウェア商品化段階でのさらに厳密な実データを使った数値シミュレーションにより、誤差の発生することが見つかったのです。

商品化はまだ無理だなぁと断念したのですが、研究をあきらめずにその誤差を解析していると、数式の中のどこを改良すればよいかがわかって新たなひらめきが得られたのです。そして、より高度な適正在庫算出アルゴリズムが発見されました。

これが現在のAPIMの核になっており、国際学会でも発表することができて高い評価をいただきました。アカデミズムの世界で評価を得た後は、実務の世界での実績作りに励んで今日に至っています。学会活動中心の理論研究ではどうしても見落としがちな諸条件が、実務の世界の問題解決をすることで見えてきて、よりよい技術の開発につながり、その後のブレークスルーであるピカソロジックに結実しました。

以上のように、技術開発には失敗や間違いがつきものなのです。大事なことは最後まであきらめずに研究を継続することです。小保方さんにも諦めずに研究を続けてほしいなぁと思います。

第32回 フェイスブックのページが充実してきました

最近、筆者の周囲ではSNSマーケティング、なかでもフェイスブックを活用した営業活動が注目を集めています。そもそも、この連載もフェイスブックやTwitter と既存メディアとの連携を目指して始められたものなので、フェイスブックページのてこ入れを図ってみました。今月号は、その経過報告とご紹介です。

 

【ゴールを定めない経営】5/189

そのむかし『ザ・ゴール』という小説形式のビジネス書がはやりましたが、いま私は「あえてゴールを定めない経営」ということを考えています。

売上目標などのゴールを定めるのではなく、どんな環境変化が起ころうと柔軟に対応可能な体力をつけることを目指す経営です。

そんな体力とはどんなものでどうつけていけばいいのかを、これからゆっくり考えていきたいと思っています。

まず第一に思いつくのはキャッシュフローです。そしてその源泉たる在庫適正化があります。 そんな視点から適正在庫を考えていこうと思っています。

 

上記の記事を2月中旬に投稿し、以降ほぼ毎日記事を投稿してページを更新しています。ちょうど1カ月弱経ったところですが、毎日の記事のタイトルを以下に示しました。タイトル右側の数字は、(いいね!の数/ 既読数)となっています。

【ゴールを定めない経営2】5/145

【適正在庫とは】107/3126

【在庫が多すぎると…】11/164

最初に、ゴールを定めない経営という新コンセプトを提出して、まずは基本からと適正在庫の考え方と在庫適正化の必要性を説きました。4日目にして読者からこんなコメントがつきました。

「全く同意見です。」

賛同していただけたことに気をよくして、更に投稿を続け、適正在庫理論の基本からていねいに解説をしていきました。

【在庫が少なすぎると…】12/165

【そこで安全在庫】9/117

【最小限の安全在庫】84/1666☆

【発注点方式】9/181

【発注点の考え方】9/119

【リードタイム中需要量】11/131

【リードタイム中需要量の変動】11/115

【リードタイムは離散値】3/86

【間欠需要】94/1023☆

【二山の需要分布】7/100

 

安全在庫を最小限にする技術と間欠需要の発見には注目が集まったようで、☆に示したように既読数もいいね!数も跳ね上がりました。間欠需要の記事には次の2件のコメントもつきました。

「うちも頻度データ持ってるけど活用出来てないかな(–;)」

「需要頻度とは、面白い考え方ですね!」

 

【過剰在庫と在庫不足の同時発生】17/188

【在庫管理の基本は一品別管理】12/120

【適正在庫はコンピュータ管理で!】9/120

【安全在庫はひとつではない!】9/93

【いきすぎた在庫削減】11/113

【社長の責任】12/349

【需要予測は外れることを前提に考える】12/132

to be continued…

 

引き続きコンサル経験からわかった、過剰在庫の一方で在庫不足が発生しているという現状を報告し、その原因を在庫削減のいきすぎに求めて、無理な在庫削減指示を出している社長の責任を問うたところ、大きな反響がありました。トップからの無茶苦茶な在庫削減指示に悩んでいる方々が多いんだなぁと思いました。

1カ月弱の間に、読者からのコメントが16件と、フェイスブックを見てのセミナー申込が3件ほどあり、反応の良さにびっくりです。

この連載で、インターネット・SNSとの連携を図った目的の1つに読者との間に双方向のコミュニケーション回路を作ることがありましたので、やっと芽が出てきたなぁを感慨ひとしおです。既読数といいね!数が表示され、コメントもつくのがとても楽しいです。

「工場管理」の読者の方も、どしどし フェイスブック に進出してご意見・ご感想をお寄せくださいませ。楽しみにお待ちしております。

第31回 真の適正在庫がわかることのありがたさ

APIMを使って在庫適正化プロジェクトを進める仕事をしていると、当たり前すぎて最近まで気がつかなかったのですが、「真の適正在庫がちゃんとわかることってありがたいことだ」ということに改めて思い至りました。先月号の記事を書いていて、適正在庫がわかること自体の価値に気づいたのです。

適正在庫がわかることでよくなることには様々なレベルがありますが、最も原始的な段階のメリットとして挙げられるのが、在庫管理の責任者あるいは担当者が本当に真剣に仕事をするようになることです。「適正在庫は大切だけど難しくて誰にもわからない」という誤解が世の中には広まっていて、どうも在庫管理の仕事をしている人たちも半ばあきらめてしまっているふしがあるようなのです。

そこへ、APIMを使って適正在庫を計算して示し、必要ならば在庫推移シミュレーションによってその適正在庫で生産管理・在庫管理がちゃんとまわっていくことを示してあげると、彼らの目の色が変わります。「こりゃ大変だ!真面目にやらないとバレてしまう」と言ったかどうかはわかりませんが、APIMをデモしただけで在庫削減が進んだ会社はあまたあります。

次の段階のメリットは、標準値がわかることで生産管理・在庫管理の仕事が格段にやりやすくなるというものです。「いつ発注しようか?いくつ発注しようか?」とあれこれ思い悩む時間がけっこう多く、どう転んでも後からあちこちから叱られるというのがこの仕事の担当者の常なのですが、APIMの計算値として適正在庫が示されることで、その値を採用するかどうかを判断すればよくなるので、思い悩む手間が大幅に省けるのだと現場の方々にいつもおっしゃっていただいております。なにか想定外のアクシデントがあったときでも、理論的な手法に基づいての結果であるということで申し開きもしやすくなるし、関係部門や関係者の方々にも納得していただけるようです。

そして、いちばん多いメリット例は、適正在庫基準値を使った生産管理・在庫管理を運用することで、実際に在庫が適正化されることになります。ただし、その適正在庫の値が正しいものであることが前提となります。

最近、お呼びがかかってお話を聴きにいくと、なんらかの生産管理・在庫管理パッケージソフトを使っていて、そのソフトが「適正在庫を計算してはくれるのですが…」という事例が多くなってきました。ところがこれまで筆者が経験したすべての例で、適正在庫をちゃんと計算しているソフトは1つとしてありませんでした。

ひどいものでは、別ウィンドウで目標在庫日数をユーザー入力させておいて、それを数量換算するだけのものから、ユーザー入力された最大在庫を基に補充点を計算して、それを適正在庫と称するなどといったものまでさまざまではありますが、どうもいけません。ソフト開発エンジニアと直接お話しする機会も何度かありましたが、プログラマーやシステムエンジニアとしては優秀でも、在庫理論に関しては存じていない方々がほとんどでした。

適正在庫というのは、必要最小限の安全在庫を保有しながら所定の在庫管理方式をとった場合の平均在庫のことです。そして、安全在庫を計算する際に、半世紀前の古典理論では考慮されていなかった次の3条件を織り込むことが必要であることが近年の研究により明らかにされています。

つまり、間欠需要とリードタイム変動と未来在庫の考慮です。間欠需要というのは、毎日は出荷がなく月に数回とか週1回程度などたまにしか出荷されないような需要のことで、古典理論ではこのような需要分布が想定されていませんでした。リードタイム変動というのは、調達リードタイムや生産リードタイムが一定ではないという現実の姿を考慮すべきことを言っています。外部調達部品がいつも約束納期どおりに入ってくるわけでなく、納期遅れや早期納入が普通にあることを前提に安全在庫を計算しなくてはならないのに、古典理論では固定値で計算をしていたのです。未来在庫とは、将来の在庫推移を予想した生産管理・在庫管理を行うことを言っていて、そのような管理形態を前提とした安全在庫を古典理論では算出していなかったのです。

このような正しい適正在庫がわかることで一番すばらしいのは、ムダな努力をしなくてよくなることです。これがわからない時代は、在庫削減を極限まで追求することが現場の目標とされることもあったように思います。これ以上は減らしてはいけない!あるいはこれくらいは持たなくてはならない!という適正在庫が分かれば、必要以上に無理を重ねて在庫削減をする必要もなければ、欠品対応に追われて四苦八苦することもなくなるのです。

APIM登場前には知ることの出来なかった適正在庫が、今は簡単にわかるようになったということは、ありがたいことだなぁとつくづく思うこの頃です。