第25回(通算83回)セクハラ、地震騒動から見えてきたこと

 

【言葉にできること、してはならないこと】

 

「見える化」が生産管理のキーワードであった時代がありましたが、モノづくりの現場には言葉にできないノウハウがたくさん残っています。現代の名工といわれる職人さん達の加工技術、技能には、マニュアル化不能なノウハウが多くあります。

かく言う私自身の持っている技術・技能の中にも、どんなに頑張っても言葉で表しきれないものがたくさんあるようです。それは、本人にとっては当たり前のことで、わざわざ説明する必要がないだろうと思えることでも、他の人から見ると不可思議で、相対してとことん説明している過程で始めて明らかになるという経験をたくさんしてきています。「洞察力がある」とか「引き出しをたくさんお持ちですね」とほめていただけることもあるのですが、秘密の技術を隠しているのではと疑いをもたれることも多々ありました。

それでもへこたれずに、なんとか他の人々にわかってもらおうと頑張った結果が、広く読んでいただいた、日刊工業新聞社から上梓した適正在庫四部作の成功であると思っています。ただ、それでもまだ十分ではないかもしれないと感じることもあります。というのは、私の本を何度読み返してもわからなかったことが、セミナーに参加して直接相対しての説明を聞くことで、初めて分かったという受講者の喜びの声を聞くことが多くあるからです。

さて、昨今では、セクハラ問題が政治界方面などを巻き込み、巷をにぎわせています。身体接触によるセクハラは言語同断に犯罪行為ですが、言葉によるセクハラは女性の受け止め方次第で犯罪が成立するという、男性にとっては恐ろしい時代になっているようです。

最近、ある言葉のセクハラ事件が報じられた際には、ついに黙っていられずに、これは男女平等原則に反する人権問題であると感じて、周囲に「オレがもし言葉のセクハラで訴えられたら、最高裁まで上訴して徹底的に戦う。それでも敗訴したら国連人権委員会に提訴する」などとわめいて周囲の失笑をかっておりました。

ところが、親しくしているある女性のふとしたつぶやきでハッと気づいたことがあります。それは、女性から見て上司であったりお仕事先の方であったり指導をしていただいている方であったりすれば、上位に位置する(権力を持つ)男性からの言葉に対する自分の応答次第で、仕事からはずされたり、邪魔されたてしまうのでは、と思った瞬間にセクハラが成立するということでした。これを「大発見」と周囲の女性に披露したところ、「あぁ、やっぱりね〜。わかってないんじゃないかと思ってた」を大笑いされてしまいました。

そこで、男性からの言葉のセクハラ訴訟対策を編み出しました。それが、憲法第九条方式宣言です。つまり、「私の言葉に対していかなる応答をしても、それを理由に自分の力の行使はしません」と宣言することです。ところが、これに対しても「そんなあたりまえのことをわざわざ言葉にするなんて、かえって怪しい」と即座に却下されてしまいました。権力を持っていれば持っている人ほど、言葉にしてはなないことへの気づきが必要なのです。

 

【相手に不安をあたえない配慮】

 

在庫の起源は農耕生活が始まった頃までさかのぼり、お米や麦などの穀物の備蓄在庫がその起源です。したがって、在庫そのものは人々から飢えへの不安を取り除く善きものでした。というのが適正在庫の基本姿勢ですが、在庫過多になってしまうとキャッシュフローを圧迫して悪者になることもあるので、適正在庫の数を知ることが重要である。と考えていたのですが、在庫過多の弊害の核心は

「不安」であることに気づきました。つまり、在庫は多すぎても少なすぎても不安を生じさせるので、不安を覚えない適正在庫を知ることが大切であるという認識が、現時点における到達点です。セクハラ話題からとんでもないところまできてしまいましたが、「相手に不安を与えない配慮」というのが、最近の私のマイブームになっております。

最近の適正在庫理論研究の対象は、モノの在庫だけでなく、フロー&ストック・モデルで捉えられるもの・ことすべてを「在庫現象」と呼ぶことで、お金やエネルギーにまで拡大しています。この中で、お金の流れに注目すると、過剰在庫の弊害は、まさに「不安」であることに、多くの方に同意していただけると思います。もちろん過小在庫が生活不安を呼び起こすことにはかわりはありませんが・・・。

というわけで、純粋な理論研究としての適正在庫理論は、金融資産の過剰在庫に悩む方々の不安を煽っていたのかもしれないと反省しました。これもセクハラと同じく、他者に不安をあたえない配慮が重要なわけです。

 

【生物的多様性の適正値研究へ】

 

大阪大地震直後の「次は東京」説に不安を煽られた私は、身近な方々の間に一騒動起こしてしまい、「オオカミ少年」認定が確定してしまいました(笑)。それは、言語化不能な脳内メカニズムにより知ってしまった(?)直近の地震発生推定時刻を示し、この時間だけでいいから地震に備えてくれ〜と、周囲につぶやいてしまった事件です。

気象庁の時間帯別降雨確率情報に時間帯別地震発生確率予報を加えるというアイデアがひらめきました。現実に社会的な有用性が実証された可能性がありますが、当該当時間には何事も起こりませんでした。結果的によかったのではありますが、近所の居酒屋を中心にお詫びをしてまわりました。そして、「へんなおじさんも1人くらいは必要ね」という居酒屋さんのママさんの言葉から、またまたひらめいてしまい、適正在庫算出技術を生物的多様性度合の適正値算出技術に拡張する研究に取り組み始めている、今日この頃です。

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