2017年9月19日(火)週刊 適正在庫の視点から Vol.168【日本語は人類の宝かもしれない】

適正在庫の広場 TSCブログ
2017/09/23

【日本語は人類の宝かもしれない】

私は語学が苦手で、
若い頃は日本語も苦手で、
特に会話が苦手で、
とりわけ女性と話すことが苦手で、
どうしてもお話をしなければならないときは
想定問答フローチャートを作成して臨んでいました(笑)。

結婚して、妻に会話力を鍛えられ
中小企業診断士の受験勉強と
かばんの会という同人で短歌を学んだことで
日本語まではなんとかなりました。

外国語の方は、努力の結果、論文や専門書ならなんとかなり
「サプライチェーンハンドブック」(朝倉書店)
の翻訳出版などもしたのですが、

英会話が駄目で、
研究所勤務のサラリーマン時代には
特訓ということで、MITをはじめとする海外からの優秀な留学生男女の
お世話係を4〜5人はやらせていただいた甲斐もなく、
いまだに苦手です。

そんなコンプレックスがあるので、
日本語が大好きです!
と言うと、外国語が苦手なことがばれてしまいそうで
秘密にしてました。

ところが、ノーベル化学賞受賞の白川英樹博士がおっしゃるには
アジアの中で日本人ノーベル賞受賞者数が突出しているのは
日本語で専門教育を受けられて
日本語で専門思考をしているからなのだそうです。

アジアの他国では、専門教育は英語でされているそうで
論文を書いたり、発表したりといった
コミュニケーション能力には長けるけど
創造的な思考には、母国語で日常の言葉を使って考えることが
よろしいのだという理由です。

つまり、先人の努力のおかげで
日本語には西洋の知的財産と東洋の知的財産がどちらも
消化吸収されて溶け込んでいるから
おそらく、西洋だけの言葉で考える人よりも
高いクリエイティビティを発揮できる可能性があるこということになります。

白川博士からは、ノーベル賞受賞当時に直接お話を聞く機会があったこともあり
クリエイティビティに対する深い理解のある方であると認識しています。

たしかに、自分の経験でも
日常の言葉に置き換えて専門の問題を考えたり
もっと深いところ、つまり言葉にならない深層意識で
考えると、いいアイデアがでることが多かったように思います。

アインシュタインも来日時に、
日本は人類の希望の星であると
言ったということですが

それは、西洋と東洋の知恵を吸収した唯一の言語たる
日本語に由来するのかもしれません。

となると、日本の戦略技術の基盤は
大学の文学部にあるのかもしれません。
国立大学から文学部をなくすなんてなことは
とんでもない暴挙なのでしょうね。

【紫の花に詩を織る】

「お茶が入りました」
日本の主婦が、書斎で仕事をしている亭主に呼びかける。

お茶が入りました

平凡な言葉ではあるが、何と美しい言葉であるか。お茶は自然に入るものではない。亭主のためにお湯を沸かし、土瓶に茶葉を入れて湯を注ぎ、茶碗に注ぐ。そこにちょっとした菓子をそえてから呼びかけるのである。

どこかの国ならば、

あなたのために私がお茶を入れましたよ

と言いそうなところをである。

金田一春彦「日本語」より

【ご感想は本メールへの返信でどうぞ】
ときどき、本メールへの返信でご感想をお送りいただくことがあったのですが、
とってもうれしいことなので、正式に受け付けることにいたします。
いただいたご感想にはできるだけお返事を差し上げるように致します。
本文の感想だけでなく、コラムの感想も大歓迎です。
そのままメール返信していただけるだけで届きますので、お気軽にご意見・ご感想お寄せ下さいませ。

____________________________________

適正在庫算出ソフトAPIM http://www.tscinc.co.jp/apim.html

適正在庫算出サービス http://www.tscinc.co.jp/calculate.html
____________________________________

勝呂隆男講師セミナーのご案内

TSC主催 新・適正在庫の考え方・求め方セミナー(2017/10/20 東京)
http://www.tscinc.co.jp/seminar/zaiko.html

TSC主催 適正在庫APIM7無料紹介セミナー(2017/10/11 東京)
http://www.tscinc.co.jp/seminar/zaiko_free.html
____________________________________

勝呂隆男の適正在庫四部作(日刊工業新聞社発行)

「適正在庫の定め方・活かし方」http://goo.gl/3104cl
「適正在庫の考え方・求め方」http://goo.gl/vFoUfH
「適正在庫のマネジメント」http://goo.gl/hiCHJQ
「適正在庫のテクニック」http://goo.gl/g21bxd
____________________________________

勝呂隆男のブログ「タイムエンジニア日記」 http://ameblo.jp/timengineer
「適正在庫の広場」  http://tscinc.co.jp/wordpress/
____________________________________

【発行責任者】
テクニカルソリューションズ株式会社
代表取締役社長 勝呂 隆男
技術士(経営工学) 中小企業診断士
【テクニカルソリューションズ】http://www.tscinc.co.jp
【Facebook】http://facebook.com/APIM.TSC
【twitter】http://twitter.com/inventory_apim
【登録解除】(解除URL)
【登録】https://beast-ex.jp/fx4283/3
【バックナンバー】 http://arrival-ex.jp/bkn4283/TSC1/
【季刊誌『波』購読申込】http://www.tscinc.co.jp/nami/
【ご意見・ご感想】本メールへのご返信でお気軽にどうぞ!
セミナー・講演受講申込者や名刺交換させていただいた方々と、
FBページ 適正在庫の広場、弊社HPから読者登録いただいた方々に
配信しています。
____________________________________

第15回(通算73回)マイナス消費税という発想転換

【在庫の歴史観】

大昔のことですが、在庫をたくさん積み上げるためにどんどん生産拡大に励んだ時代がありました。その後、在庫削減の時代を経て、適正在庫の時代になりました。そして、これからは「流れを止めない適正在庫」の時代になります。

土地・建物の在庫である不動産の世界でも、同じような変遷がおこっています。昔、保有することがあこがれの的であった別荘の多くは、今や不良資産になって維持費や税金負担がかさむのに転売先も見つからないので二束三文で投げ売りされるようになってしまいました。

知識・情報も同様で、多くの情報が提供されることは良いことだという価値観の下、ラジオ・TVの多チャンネル化に始まり、インターネット・SNSの時代になってみると、世の中にはフェイク・ニュースが溢れてしまい、ホントにこれで良かったのかと多くの人々が疑問に思い始めています。人工知能(AI)についても、沢山のデータを与えて自力学習させればいいかというとそうでもないようだという気づきが始まっています。きちんと整理・整頓されたデータや、価値ある情報を与えないと、役に立たないどころか人類全体に害を及ぼすようなAIが出現してしまいそうです。

いちばん大切な人的資産についてはどうでしょうか?SNSの友達を増やすことで、つながり拡大を皆が競った時代はとっくの昔に終わり、自分にとっての心地よいSNSコミュニティづくりが大切だということに多くの方々が気づきはじめています。ただし、健全なコミュニティを維持するためには、新しい友達獲得と親交のなくなった旧友整理の両方が必要なようで、ここでも流れの維持が重要な方策となるようです。人口問題としては、先進国になると少子化が進みますが、これを緩やかな微増維持状態に持って行くことが重要なように思います。

 

image1

 

【make to stockを知っていますか】

「見込生産」に対応する英語は「MTS」ですが、何という言葉の略語なのかを知っている人は少ないでしょう。「make to stock」が正解で、今手元にある APICS Dictionary(TENTH EDITIO)の定義には、見込み生産の内容が示されているのですが、「make to stock」を直訳すると「在庫するための生産」になってしまうところが、今日の我々には奇異に感じられます。この英語の用語がいつ頃成立したのかまでは調べがつきませんが、おそらく在庫は大事な資産でありたくさん保有しようという考え方が支配的な時代につくられた用語ではないかと思います。

そもそも在庫に対する価値観は次のような変遷を辿ってきました。

①安心の源の誕生(農耕生活の開始)

②大切な財産(どんどん増やせ)

③在庫は悪だ(無在庫経営が理想)

④多すぎず少なすぎない適正在庫(均衡解の追求)

⑤流れを止めない適正在庫(システム最適化)

振り子が右に振れたり左に振れたりして段々真ん中に収束するように、在庫に対する価値観も段々と収束するように思えます。そこで、モノの在庫資産に対する価値観の変遷を辿ることで、資産全般の価値観変遷を考察しようと思います。

蓄えることができるようになると、まずは各人の欲望のままに「たくさんあることはいいことだ。とにかく生めよ増やせよ」という段階に突入します。これが競争をうみ、皆が頑張ることで世界全体の資産量が増えます。ところが、これがいきすぎて供給過剰の時代に突入すると、在庫資産はリスクになりますので、一転して「在庫は悪だ」という価値観に変わっていくわけです。すると、今度は各人がいかに少ない在庫でうまくやっていくかの競争の時代となります。これが、ついこの間までの「在庫削減の時代」です。けれども、これも皆が同じように在庫減らしに走ると、供給が滞って売上が伸び悩むだけでなく経済全体も縮小してしまい、皆が不幸に陥ります。目先の利く会社は、方向転換を既に始めていて、自社の在庫適正化に取り組んできました。そして、次の段階としてサプライチェーン全体の在庫資産最適化を模索し始めている。現状は、ざっとこんな感じでしょうか。各種資産に対する価値観の変遷の行く末も見えてきたように思えます。

【電子マネーの可能性】

システム工学的に見て、人類の発明した最も重要な人工物は「お金」ではないかと思います。このシステムがIoTによって今大きな転換期を迎えています。そこで、お金を在庫に見立てて、金融資産の価値観の変遷を考えてみたいと思います。

貨幣の誕生以来、ずっと「多ければ多いほど良い」という価値観で続いてきましたが、これが変わりつつあります。各人が自己の金融資産を増やすことについては、それでホントに幸せになれるのかという疑問はありますが、欲望を否定して禁欲を強いるのはかえってマイナスとなりますので、保留とします。大事なのは、世界の金融資産総量コントロールです。モノの在庫でも、生産能力の拡大によって供給過剰となった時点が転換点になりました。金融資産も同様ですが、現在のマネーはドルも円もユーロも元も金兌換制を敷いていない点において全て仮想通貨であり、供給量に物理的な制約がありません。ですから、資産量コントロールによって流れを止めないことが重要になるのです。

どうやってコントロールするのかというと、これまでは金利の上げ下げと税金でコントロールすることが中心であったように思います。日本経済が長らく患ってきたデフレはお金の流れが滞ることですから、金利の上下だけでは制御しきれなかったことがうかがえます。金利は在庫量の大小で決まるので、マイナス金利でも効果は薄かったようです。消費税はお金を使えば使うほど資産がマイナスになりますから流れをつくる意味では逆効果です。さて、どうするか、と悩んでいたら、かつて銀行で融資を担当していた妻が、「電子マネーのポイントは使えば使うほど増えるわよ」とポツリ。なるほど、多くの電子マネーはお金を使うとポイントがつくシステムを導入しています。マイナス消費税とでも称すべき大きな発想転換です。

さらに電子マネーになれば、使用期限を定める等自在なコントロールが可能になります。そして、そのコントロール技術の核になるのが、「流れを止めない適正在庫」なのです。

 

#安全在庫 #TSCテクニカルソリューションズ #適正在庫の広場 #マイナス消費税という発想転換

第4回(通算62回)安全在庫の古典理論計算式は科学的な誤りでした

|公式を鵜呑みにしてはいけない

 

数学や物理の受験勉強では、公式や定石をたくさん覚えて試験に臨んだ方が多いと思います。

モノづくりや生産管理の世界にも公式・定石はたくさんありますが、これを鵜呑みにしてはいけません。

なぜなら、そのようなテクニックができたときの前提条件が変わってしまったら、役に立たないどころか害悪にすらなることがあるからです。

学校の試験では前提条件がきちんと決められていますが、

現実のビジネスの世界は日々変化を続けており、誰も前提条件を保証して採点をしてくれるわけではないからです。

 

生産管理でよく使われる公式に、安全在庫計算式がありますが、
最近、Yahoo!知恵袋からこんな回答要請がありました。

 

ID非公開さん 2016/8/2915:34:11

「適正在庫数と安全在庫数の求め方を教えてください。 全くわかりません。

 

 

いろいろ調べたところ、

 

適正在庫数の求め方

適正在庫数=その商品の1日あたりの平均売上数×発注から納入まで日数×安全率

安全在庫数の求め方

安全在庫量=安全係数×出庫量の標準偏差×√調達リードタイム

 

ここまではわかりました。

適正在庫数>安全在庫数 となるのはなぜでしょうか?

 

私はこの質問に対して、次のように回答しました。

 

適正在庫の公式定義は以下の通りです。

適正在庫 = サイクル在庫 + ミニマム安全在庫

欠品防止のために決めたサービス率を必要最小限満足させるミニマム安全在庫を保有して所定の販売・需給・輸送ならびに在庫の管理方式をとったときに工場または販売拠点等が保有する適正な平均在庫のことである。

(『工場管理』誌2016年2月号にて告示・公開済)

 

適正在庫、安全在庫の間違った俗説に振り回されているようですが、問題意識をもったことは大変素晴らしいことです。 もっと勉強したかったら、私の名前で検索してみるといいでしょう。 ご健闘をお祈りします」

 

在庫理論は純粋に数学論理で構築されていますので 正誤は論理的に明らかにされるのですが、

最近、この手の質問に対する回答要請が多く、世の中には誤った俗説が溢れているように思えます。さながら、悪貨が束になって良貨を駆逐しようとしてるかのような感もあります。

 

|安全在庫計算式のディメンジョンチェック

 

約半世紀前に生まれた「統計的安全在庫の理論」(安全在庫の古典理論)では、安全在庫計算式として次式を示しています。

 

安全在庫  ss=k√Tσ‥‥①

(k:安全係数、T:リードタイム、σ:需要標準偏差)

ここで、標準偏差は次のように計算されます。

標準偏差  (※数式表示不可のため、計算式省略)‥‥‥②

これを基に①式をディメンジョンチェックすると、

[N]=[√TN]‥‥‥‥‥‥‥③

(N:個数・回数、T:時間)

 

となり、左辺と右辺の単位が異なるために、この公式は論理的に誤りであると結論づけられます。

 

ディメンジョンチェックというのは、物理学者がよく使う手法であり、ある公式が導出されたときに左右両辺の単位を調べて左右で単位が一致するかどうかで、正しい公式かどうかを確認するものです。科学技術の基本中の基本となるものです。

 

|リードタイムの数え方を変えると

 

以上に示したように、

安全在庫の古典理論による計算式は科学的に誤りであったことが証明されてしまいました。

半世紀以上にわたって定説とされ、大学でも教えられており、情報処理技術者試験など、国家試験資格などでも出題されていたものですから、かなりショッキングなことです。

私も大学で学んだ計算式を何の疑いもなく受け入れて、日刊工業新聞社発行の自著でも解説していましたので責任を感じております。

 

幸いにも、自著では、現代では使い物にならない理論式として批判的に扱っており、それを改良する理論としての適正在庫理論を紹介しておりました。

 

そしてこの理論では、特許にもなった新しい方式でリードタイムを数えます。

この教え方に基づきディメンジョンチェックを行うと④式となり、科学的に正しい安全在庫計算式であることが確認されます。

これでまずは、一安心です。

[N]=[N]‥‥‥‥‥‥‥‥‥④

 

この正しいリードタイムの数え方とは、1回、2回、3回…と回数を数えるように時間を数えることです。

つまり、飛び飛びの値で時間を数えるということで、時計でいうと、アナログ時計ではなくデジタル時計の方が正しい時間の数え方であるということになります。

 

これも誤った俗説の部類になりますが、

安全在庫計算式①の√の中に、半月だから0.5カ月であるなどと少数の値を入れて計算するのは、完全な間違いということであります。

 

以上に示したように、世間で常識とされている公式には間違ったものが含まれていますから、

それを鵜呑みにせず、まずは地頭で考えることが大切なのです。

—————————————————————————————————————————————-

—————————————————————————————————————————————–

適正在庫のパイオニア|勝呂隆男(すぐろ たかお)

◼︎資格
文部省科学大臣 技術士(経営工学部門 39376)
経済産業大臣登録 中小企業診断士(現在休業中)
DETAILED WORK-FACTOR (SMC)

◼︎公職・所属
(1999-2005)   早稲田大学 招聘講師
(1999-)      中小企業大学校 講師
(1999-2000)   職業能力開発総合大学校 非常勤講師
(2004)    東京工業大学 招聘講師
(2004-2005)  経済産業省 戦略的基盤技術力強化事業中間評価委員
(2014-)               経済産業省委託 日本ロジスティクスシステム協会事業
「次世代物流システム構築事業」コンソーシアム委員

適正在庫セミナー_テクニカルソリューションズ(株)

 

第16回 不動在庫は責任追及ではなく、再発防止策の検討を!

 

在庫適正化の相談を受けて訪問し、在庫状況を拝見すると、ほぼ 100パーセントの企業で不動在庫を抱えています。不動在庫の定義は各社さまざまですが、おおむね半年ないしは1年以上出荷のない製品としているようです。APIMを使って適正在庫量を算出すると、これとの比較に基づいてより正確な不動在庫のあぶり出しが可能になりますが、基本的な考え方は変わりません。

不動在庫の問題を指摘するのは、取引先銀行や会計事務所などお金の管理関係でおつきあいのあるところであることが多いようです。その際に窓口になるのは経営者や経営スタッフであることがほとんどで、あとはトップダウンでの在庫削減指示となるようです。

不動在庫をなんとかしようという活動を進めるときに、一番まずいパターンは責任追及から始めることです。この不動在庫は誰の責任で発生したのだ!と後ろ向きの活動になってしまうと、社内の人間関係にヒビが入ってしまいますし、なにより後ろ向きなので、やる気がおきません。

大切なのは、今後は不動在庫が発生しないようにするためにどうしたらいいかを見いだすことです。現に今、発生してしまった不動在庫の処分も、できるだけ前向きの活動になるように工夫が必要です。以下、その活動の手順を示します。

|不動在庫への対処方法

 

0. 実態把握

まずやるべきことは、自社の不動在庫がどこにどれくらいあるのかをきちんと把握することです。
不動在庫の定義を決めて、該当する在庫の数量をカウントし、その金額を集計します。

 

1. 原因調査

次にやるべきことは、不動在庫の発生してしまった原因を調査することです。現場にヒアリングすると、最初は「そりゃ、決まってる!○○のせいで不動在庫になるものばかりだ!!」などと言われることが多いのですが、根気よくていねいに原因のパターン分類をして列挙することです。筆者のこれまでの経験では次のような原因が多いようです。

 

・急に売れ行きが減ってしまって売れ残った

・必要量に対して生産・調達の最小ロットが大きすぎる

・需要予測が外れて売れ残った

・需要予測を的確にしないで、適当に発注数を決めたので売れ残った

・これはいけそうだとの予測から大量に在庫確保を狙ったら見事に見込みが外れた

etc…

 

2. 原因別不動在庫金額・件数の集計

上記で原因パターンを列挙したら、そのパターン毎に不動在庫が何件あって、その金額はいくらになるのかを、集計してグラフに表します。この場合は円グラフをお勧めします。こうすることで、自社の不動在庫発生原因の傾向が目で見えるようになります。

 

3. 再発防止策の検討

不動在庫の発生原因の傾向がわかったら、次はその対策を考えます。
発生件数や金額の大きい原因から重点的に検討を進めます。

このときに注意すべきことは、積極的に、あるいは投資的な動機から確保した在庫が、予測外れによって発生してしまったような不動在庫は、仕方ないとあきらめることです。再発防止をきちんとしなければならないのは、管理不十分で発生してしまった不動在庫です。

発注数を適当に決めてしまったとか、売れ行き動向のチェックがされていなかったなどの、不動在庫を発生させる原因は取り除きましょう。そして、不動在庫を防止する方策を検討することが大切です。

例えば、販売管理システムと生産・在庫管理システムを連動させて、出荷量が減少傾向を示したらアラートを出すような機能を付け加えるとか、需要予測数を入力しないと、発注数を確定できないようにして予測行為を明確化するなどの、情報システムに歯止め機能を持たせることが有効です。

 

4. 在庫処分方策の検討

不動在庫化してしまったものは、ほとんどのものが、放っておいたら
いつまでも動かずにいるものですから、なんらかの処分が必要です。

経年劣化するような製品や、商品寿命がきまっているようなものは、期限が切れたら廃棄する必要があります。廃棄期限が来る前に早く売り切らなくてはならない品目を営業部門に伝えて、値引きやキャンペーン、セールなどの誘導施策を行いましょう。

 

以上、不動在庫への対処方法を述べました。基本は再発防止を考えることです。
決して責任追及にならないように気を配って、頑張りましょう。

 

—————————————————————————————————————————————–

—————————————————————————————————————————————–

適正在庫のパイオニア|勝呂隆男(すぐろ たかお)

◼︎資格
文部省科学大臣 技術士(経営工学部門 39376)
経済産業大臣登録 中小企業診断士(現在休業中)
DETAILED WORK-FACTOR (SMC)

◼︎公職・所属
(1999-2005)   早稲田大学 招聘講師
(1999-)      中小企業大学校 講師
(1999-2000)   職業能力開発総合大学校 非常勤講師
(2004)    東京工業大学 招聘講師
(2004-2005)  経済産業省 戦略的基盤技術力強化事業中間評価委員
(2014-)               経済産業省委託 日本ロジスティクスシステム協会事業
「次世代物流システム構築事業」コンソーシアム委員


 

 

 

 

第9回 今さらですが、、、適正在庫とは何か?

 

|適正在庫とは「何か」

今さらですが、この連載のタイトルである「適正在庫」とは何かについて、きちんと説明をしようと思います。生産管理の世界で適正在庫という考え方を広めてきた者として、この言葉の定義をきちんと定めて世の中に知らしめる責任があると思ったからです。

生産管理用語としての適正在庫は、新聞・雑誌の経済欄などで目にする適正在庫とは少し意味が異なります。経済用語としての適正在庫には、一般的な言葉として、経営者やエコノミストが適正と考える在庫水準といった意味があるようです。しかし、この言葉を生産管理の専門用語として使うときには、次に示す定義があるということを押さえておかなくてはなりません。

 

|適正在庫の定義

欠品を防止しながら在庫を減らせる限界値。
平均在庫として示される。

|注意すべき2つの点

欠品防止と在庫削減はよくおわかりだと思いますが、平均在庫というところが理解しにくいのではないかと思います。在庫という言葉が出てきたら、注意しなくてはならない点が2つあります。

1つは、いつの時点の在庫かということ。在庫数・在庫量はつねに変動しています。モノが出荷されれば減るし、入荷されれば増えます。ですから、在庫が多いか少ないかについて議論するときには、いつの時点の在庫を見て判断するのかを決めておかなくてはなりません。

財務的には会計年度の期末在庫金額が問題になるので、マネジメントサイドからは期末在庫の最少化を求められることが多いようです。しかしだからといって、押し込み販売をしたり、出荷時期を調整して洋上在庫化したりすることで在庫を少なく見せかけるようなことはおすすめできません。

生産・在庫管理の健全さを測るためには、平均的な在庫水準である平均在庫で見る必要があります。これは、毎日の在庫数をカウントしてその平均値を計算して求めます。生産管理・在庫管理の実力を測定するには、この値が最も適しているといえます。

 

もう1つの注意点は、どんな種類の値かということです。いくつあったか、あるのかを数えた測定値は別として、発注点や安全在庫のような基準値と、理論在庫や未来在庫のような予測値の2つの種類の在庫を分けて考える必要があります。

基準値というのは、発注のトリガーとなる発注点や発注量計算式の中の項として現れる安全在庫のように、発注行為のよりどころとして使われるパラメータの数値です。予測値は言葉通りの意味で、理論在庫は所定の在庫管理を実施した時の平均在庫の予測値であり、未来在庫は出荷予測と入荷計画の差し引き計算で求められる将来時点での在庫数の予測値です。

 

ここまでの説明で、もうおわかりかと思いますが、適正在庫というのは、時点でいうと平均在庫であり、種類でいうと予測値ということになります。欠品を防止して、なおかつ在庫量が最少になるような適正な在庫管理を実施したときに実現することが予想される平均在庫ということです。最適な在庫管理を実施したときの理論在庫であるといってもいいでしょう。そしてこの値を求めるための、適正在庫の計算式は次のように簡単なものです。

 

|適正在庫=安全在庫+サイクル在庫

安全在庫は、発注点方式の安全在庫、定期発注方式の安全在庫、定期補充方式の安全在庫をそれぞれ用のAPIM関数を使うことで求めることができます。

サイクル在庫は、発注点方式の場合は固定発注量の2分の1、定期発注方式と定期補充方式の場合は、期間平均需要量の2分の1で求めることができます。

このようにして求められる適正在庫の値をどう使うか。筆者の経験では、現状在庫数の評価のために使う場合が一番多く、次いで在庫削減活動の目標値として使う場合が多いようです。自分の会社の在庫がどの程度多いのか少ないのか判断がつかないというところは意外に多く、こういうところには大いに役立っています。本当に適正な在庫であるかどうかは、他社がどうしているかから求める業界平均値などではわからないからです。

また、基準値ないしは参考値として使う場合もあります。これは生産計画を立案する際に、適正在庫に落ち着くように投入量を調整するというケースで、生産能力や歩留まりの制約があって機械的に計画を策定できないので、ベテランが鉛筆なめながら考える場合です。こんな場合でも、適正在庫がわかると計画づくりが大変楽になります。

 

—————————————————————————————————————————————–

—————————————————————————————————————————————–

適正在庫のパイオニア|勝呂隆男(すぐろ たかお)

◼︎資格
文部省科学大臣 技術士(経営工学部門 39376)
経済産業大臣登録 中小企業診断士(現在休業中)
DETAILED WORK-FACTOR (SMC)

◼︎公職・所属
(1999-2005)   早稲田大学 招聘講師
(1999-)      中小企業大学校 講師
(1999-2000)   職業能力開発総合大学校 非常勤講師
(2004)    東京工業大学 招聘講師
(2004-2005)  経済産業省 戦略的基盤技術力強化事業中間評価委員
(2014-)               経済産業省委託 日本ロジスティクスシステム協会事業
「次世代物流システム構築事業」コンソーシアム委員