第11回 APIM新バージョン!

適正在庫算出システムの新バージョン、「APIM5」が完成しました。今回はホットニュースをお伝えします。

APIM5の一番の特長は、新概念の需要予測機能を取り入れたことです。どこが新概念かというと、予測に時間軸を追加した点です。この点を順を追ってご説明いたします。

 

 

<需要予測の基本>

まずは需要予測はどう行うのかについて、基本的な考え方を示します。大きく分けて次の3つの柱があるといえます。

①過去実績の延長上に時系列変化として予測

②天候やイベント等との相関関係で予測

③個別取引案件予想の積み上げで予測

①の時系列変化予測は需要予測ソフトでおなじみの機能で、上昇局面にあるのか下降局面にあるのかのトレンド予測と季節性および周期変動の予測が基本的なものです。過去の需要実績データを統計的に解析して将来動向を予測します。

②の相関関係による予測は、夏季の気温予想に基づいてアイスクリームの販売予測を立てたり、お祭りの日のお酒の売上げ増を予測したりする類いの需要予測です。

最後の個別取引案件予想に基づく需要予測とは、営業マンが抱えている引き合い案件をその成約確率を織り込みながら売上げを予測するというやり方です。リピート顧客の再注文の予測などは比較的容易な部類に入ります。

 

<ここでもピカソロジック>

以上の予測をそれぞれ行いながら、最終的に集計する必要があります。APIMの需要予測機能では、ここに安全在庫算出技術として開発されたピカソロジックを適用しています。

将来の需要を確率分布としてとらえ、確率分布の重ね合わせ計算技術であるピカソロジックを適用するのです。ここで、排他的重ね合わせ計算技術と非排他的重ね合わせ計算技術の使い分けノウハウが重要なポイントとなります。

 

<時間軸の考え方とは?>

集計計算を行う際にキーとなるのが時間軸の概念です。将来需要の確率分布は単位期間当たり需要の確率分布として把握され、それを供給対象期間内需要の確率分布として集計することになります。ここで供給対象期間とは、どの期間に向けて製品や部品、材料を生産・調達するのかというターゲット期間を指します。そしてその期間の初めと終わりと長さは固定でないことがままあります。予測すること自体が目的の需要予測では、カレンダー通りに月単位や週単位で区切った期間の需要を予測すればいいのですが、生産管理・在庫管理のために使う需要予測では、リードタイムの不確実性により、その期間が一定・固定とならないからです。

ここで、APIMのコア技術である、リードタイム変動に対応する安全在庫算出技術が活きてくるのです。変動リードタイムを変動供給対象期間に置き換えて、その期間中の平均需要を計算することで需要予測を行うというのが、新しい発想であり、新しい技術であります。

ちょっと考えると、平均リードタイムと単位期間当たり平均需要をかけ算することで簡単に求められそうに思えるのですが、実はそうはならないからです。このことは、連載第8回で述べたオランダ人SCMスタッフから教えていただいたことです。あのときのバトルが新概念の需要予測技術として結実したのです。

 

<予測のための予測から使える需要予測へ>

以上のような需要予測を行うことにより、安全在庫算出技術との親和性も向上しました。APIMでは需要予測誤差を吸収する安全在庫を求めるのですが、その際に確率分布としての需要予測がうまくフィットするのです。

当初、APIMでは需要予測を完璧に当てようとするのはナンセンスであると公言して、予測誤差の発生を前提に安全在庫を算出する技術を深掘りしていたのですが、結局それが新概念の需要予測技術を生み出すことになりました。

さらに、安全在庫算出過程で使われる平均需要の算出精度を向上させることで、安全在庫算出精度の大幅な向上をもたらす結果ともなりました。

この記事が読者の目に触れる頃には、APIM5はリリースされていると思います。どうぞご期待ください。