第26回 工学的時間論2

この連載の第14回で、「リードタイムから工学的時間論へ」と題して時間に対する新概念の提唱を行いました。リードタイムが離散量であることの発見から生まれた時間概念で、アインシュタインの時空連続体仮説とは立場を異にする「時間は鼓動・振動である」という考え方です。

時空連続体仮説とは、縦・横・高さの3次元の空間に時間軸を加えた4次元時空を想定するものですが、この前提から導き出されるのは、過去・現在・未来が(言葉として矛盾していますが)同時に存在するということです。その結果、タイムマシンや多重世界の可能性が出てきてしまい、筆者にとっては、どうにも同意できずに、気持ちの悪い思いをしてきました。

ここで、時間を空間の延長に考えるのではなく、空間とは別ものの、鼓動・振動であると考えるとすっきりします。同様の考え方は、アインシュタインと同時代の、ベルクソンという哲学者も主張していて、時間を空間の延長に考えてはならないと力説しています。

筆者は、時間の本質は鼓動・振動であるとする考え方に、「工学的時間論」という名前をつけて、適正在庫の研究のかたわらで、日々、時間の本質について考察を進めています。在庫理論の属する経営工学の研究の中から生まれた仮説であるので、工学的と称しているのです。

以上が、1年前の記事で述べた「工学的時間論」の概要です。今回はこの理論についてもう少し述べてみようと思います。

時間は鼓動でありますから、私達はそれぞれ固有の時間を持つことになります。心臓を持つ生物はその鼓動が時を刻む時計ということになります。さらに体内の器官・臓器レベルでもそれぞれの体内時計を持っています。細胞レベルにおいても生物時計の存在することが知られています。生物ではない物質においても、原子核の回りを巡回する電子の周期あるいは原子核内の素粒子においても固有の振動を示しています。これらがすべて、存在物固有の時間ということになります。

そして、その時間の長さは鼓動の回数であり、その速度は「観測者の鼓動1回分の間に被観測者の鼓動が何回カウントされたかの回数」によって測定されるものとなります。つまり、時間の速度の相対性を示すことになります。相対性理論が空間内を移動する物質の速度の相対性を明らかにしたように、工学的時間論は時間の速度の相対性を明らかにしています。

このように時間の相対性を認めることで、光のドップラー効果ともいうべき赤方偏移と、光速度一定仮説とを矛盾なく説明する理論が生まれる可能性があるのではと筆者は考えます。相対性理論は光速度一定を前提に組み立てられているのですが、そうすると光のドップラー現象とでもいうべき赤方編移の説明があやしくなることが、筆者にとっての長年の謎でした。詳しい理論構築は、専門の理論物理学者の方々に期待しているところではありますが…。

また、連載第12回で紹介したヒッグス粒子の発見によって、その存在確認に期待が高まっている暗黒物質を想定することで、光速一定仮説を補強する理論構築ができるのではないかとも考えています。とても奇想天外な発想ではあるのですが、宇宙全体に遍在する光を遮る暗黒物質が除かれることで光が伝播するのだというようなアイデアです。

赤方編移も光速一定も、残念ながら筆者は思いつきレベルのアイデアしか出せないのですが、これがご専門の方々の目に触れて精緻な理論構築につながればいいなぁと思っています。

なぜなら、工学的時間論によって時間理解のブレークスルーがなされることで、コスモクリーナーの開発につながる可能性があるからです。コスモクリーナーとは、SFアニメ「宇宙戦艦ヤマト」に出てくる放射能除去装置のことで、末期を迎えた人類の希望の星でした。放射能は半減期単位で減衰するものですから、その半減期を安全に加速することが放射能除去の方策となり、そのためには時間速度を加速する技術の開発が必要となるからです。

などという白昼夢のようなことどもを残暑厳しい日々に書き連ねておりますが、こんな時間論を芸術的に表現する機会が与えられそうです。先月号の記事で紹介した演劇の舞台においてです。筆者が目下出演に向けて稽古を重ねている舞台は、イギリスでは、”Time Art”と称されるジャンルの舞台芸術で、劇団COLLOL主宰の田口アヤコさんはタイムアーティストなのでした。そして筆者は工学的時間論をひっさげてタイムエンジニアを自称しており、タイムアーティストとタイムエンジニアの出会いによって、その舞台に工学的時間論の世界が展開されようとしています。

この記事が世に出る頃には舞台は終わっていることと思いますが、もし舞台をご覧になった方がいらしたら思い出してその意味をお考えになっていただけたらと思います。

第25回 役者デビューします!

いきなりですが、勝呂隆男は役者デビューします。劇団COLLOLの「サリー・キャロル」という舞台です。9/19~22、東京・代田橋のCHUBBY[TEL(03)3324-6684]というカフェで上演しますので、興味のある方はぜひ、観に来て下さい。

なぜ、ここへきて演劇なのか?疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。先月号で、アイデア発想の秘密を公開しましたが、演劇はその延長にあります。この原稿を執筆中に、現在進行形の演劇体験を紹介したらご納得いただけるのではないかと思い、ご説明します。

フェイスブック上のひょんなきっかけで、独創的で斬新な手法で演劇づくりをすすめている劇団COLLOL主宰・脚本・演出・女優の田口アヤコさんの面接を受けたのは、4月のことでした。田口さんは東京大学文学部出身のとても知的な方なのですが、一方とても懐の深い方でもあり、筆者にNGを出すことなく出演させていただけることになりました。以下、舞台稽古真っ最中の演劇体験をご紹介していきます。

 

(1)こころのストレッチ

舞台稽古の最初の1時間は入念な準備運動とストレッチを行います。筋トレ、整体、ヨガ、太極拳、氣功、マッサージetc…をすべてまぜこぜにしたような運動です。身体だけでなくこころまで柔らかくなってしまいます。

(2)言葉と動きのものまね&しりとり

2人1組になって会場内を動き回りながら、ものまねやしりとりをします。なんでもいいから身振り手振りや身体運動を交えて行うのがミソで、他者をトレースしようとすることで、自他の身体に対する感覚が高まっていくのがわかります。

(3)今日の私ゲーム

メンバーの誰かが突然指名を受け、朝起きてからの出来事をみんなに向かってプレゼンします。終わると、次に指名を受けた人が、先の人のプレゼンを身振りや表情を交えて再現します。それを引き継いでさらに次の人が再現します。これを繰り返していきます。いかにいいかげんに他者を見たり聞いたりしていたかが自覚されて、次第に他者の言うことを注意深く見たり聞いたりするようになります。

(4)携帯アドレス帳ゲーム

最初に指名された人の携帯電話のアドレス帳の先頭から10番目の人について、どんなきっかけで電話番号を交換して、どういうお付き合いの人なのか、なにをしている人なのか、などについて、携帯電話を手に持ちながら説明します。次の人はその携帯電話を受け取って、前の人の説明を、身振りを交えて再現します。何人か繰り返したら、別の人の携帯電話に移ってまた繰り返します。偶然に共通の友人が発見されたりして、相互理解が進んでいきます。

(5)神になった気分ゲーム

指名を受けた1人の人が、会場内で即興パフォーマンスします。つぶやいたり叫んだり、でんぐり返しをしたり、ジャンプしたり走ったり…なんでもOKです。それを他の人全員が真似て後をついて行きます。自分の動きが皆にトレースされる感覚というのは、何というか神になった気分を味わえます。

(6)COLLOLリーディング

ポエトリーリーディングというのは演劇の演目として知られている舞台上での詩の朗読ですが、これを複数の役者が一行一行を分担しながらすすめます。次の行を誰が朗読するのかは、互いに場の空気を読みながらの即興となります。読み上げる詩から立ち上がる想像世界とその場の空間を共有しながらすすめる座の演劇です。

 

と、ここまで紹介してきて、「演じる」という共通項はあっても、なんだか大人のお遊戯ではないかと誤解されそうに感じていますが、こんなことをしながら、脚本家は出演者全員の個性とそれぞれの相性などを観察・把握して台本を書いていくのだそうです。当て書きというのは特定の出演者に合わせて台本作りをする手法ですが、COLLOLの演劇手法は全員当て書き手法とでもいうべきもので、実際、今回の公演では9人の出演者全員分の9本の台本を書いてから、それを舞台上で統合していく計画のようです。これってまさに、APIMのピカソロジックとおんなじ発想ですよね。

先月号のアイデア発想法は、芸術作品や自然の美を受け身の立場で感じることがきっかけとなっていましたが、今回の演劇体験はそれを一歩進めて能動的に、自分の脳みそに働きかけを行うことになります。脚本・演出家や他の役者たちとの間で真剣なやりとりをする過程が、自分自身を再発見し再構成するプロセスそのものだからです。それだけ得られるものもビッグになりそうで、ワクワクしながらの今日この頃です。

第24回 難問・奇問・無理難題 大募集中!

適正在庫算出技術APIMだけでなく、お休みオークションやアウトドアセラピー、はっぴい分布仮説などなど、アイデアが豊富に湧き出てくる秘訣をよく尋ねられます。今月はその秘密を公開しようと思います。

APIMの最初のヒラメキが起こったのは、セミナー講師として訪れた福岡のホテルのバーで飲んでいるときのことです。2002年10月7日、ちょうど結婚記念日のことでした。そもそもリードタイムとはなんだろうと考え続けていた頃で、出張先のいつもと違う場所で飲みながらアイシュタインの特殊相対性理論の数式を思い出していたら、アイデアが降りてきたのです。すかさず、テーブルの上にあったナプキンにアイデアを書き留めて、部屋に戻ってからノートに書き連ねた数式が、APIMの原型となりました。

その後のAPIMのブレークスルーは、ピカソロジックですが、こちらは名前にも残したように、ピカソの絵を見ていてひらめいた技術です。定期発注方式の安全在庫について、もやもやした疑問を抱えていて、安そも研究(安全在庫とはそもそも何だろう研究)をすすめていた頃のことです。2008年秋、東京・六本木で大規模なピカソ展が開催されたので見にいったところ、すっかり気に入ってしまい都合10回ほど足を運びました。数カ月間ピカソとお付き合いさせていただいて、展覧会が終わった頃に、ふと気がつくと安全在庫の本質に迫る着想を得ていました。

ピカソロジックはその後拡張されて、確率的重ね合わせ合成計算技術が追加されて完成をみるのですが、そのきっかけになったのは「HIROSHIMA-HAPCHEON:二つの都市をめぐる展覧会」という前衛演劇作品でした。2010年11月25日のことです。会場となった目白にある自由学園朝日館の講堂の中にパフォーマーたちが佇んでいる姿を見た瞬間に、APIMの解空間の中に偏在する特異点の配置がイメージされて、重ね合わせロジックの必要性が理解できたのです。

APIM以外でも、お休みオークションのアイデアは、2011年9月27日の千葉館山へのサーフトリップで生まれたものです。その頃、行きつけの美容室のヘアメイクアーティストさんがよく、「希望の休みがとれないからデートができない→彼氏ができない」とぼやいていたので、何とかならないものかとぼんやり考えていました。沖でサーフボードにまたがって波待ちしていると、大きな波が砕けて虹がサーッとかかりました。その瞬間、お休みオークションのアイデアがスパークしたのです。

サーフィンきっかけはもう一つあって、アウトドアセラピーの事業化アイデアもそうです。2011年7月12日の同サーフトリップで同行した友人が海中で肉離れを起こしたので、やはり同行したセラピストの友人が、浜辺でその方の足をマッサージしたら、すぐに治ってしまって、またサーフィンを楽しむことができたという経験が原点でした。打ち上げになってみんなでお酒を飲んでいるときに、「アウトドアセラピー」という言葉をセラピストの友達が発して、そこからこのビジネスが始まったのです。

以上に示した以外にも、映画や舞台や絵画、あるいは登山や音楽ライヴなど、さまざまなきっかけで技術アイデアが生まれてきました。楽しい経験だけでなく、芸術や自然の「美」に触れた瞬間にヒラメキが起こるようです。そしてその前提となるのが、頭の中のどこかに、問題意識や課題がセットされていることなのです。

現在、筆者の頭の中にセットされている課題には、次のようなものがあります。

<課題1>

内経が摩耗して返ってきたダイスを再加工して別規格・サイズのダイスとして出荷できるのだが、その場合の安全在庫と発注点はどう考えればいいか?

<課題2>

製品グループ全体の需要予測は、ある程度正確にできるのだが、グループの中の色違いなどで細分化された一品別の出荷数が読めない。この場合の安全在庫は?

いずれも、クライアントから投げかけられた質問や課題を受けとめて、「考えときますね」と頭の中にセットしているものです。1は需要分布の計算方法の問題として解決できそうです。2は需要を分布で予測して、その重ね合わせ計算の問題として解決できそうです。あとは決定的なヒラメキを待つばかりになりました。これらが解決すると、APIMに新しいソリューションが加わることになります。

というわけで、「必要は発明の母」ということで、難しい「難問・奇問・無理難題」が大好きです。読者の皆さん!難しい問題をお持ちでしたらぜひともご連絡下さいませ。大募集中です。

第23回 APIMのソフトウェア部品バージョン!

適正在庫算出システム「APIM」に新しい仲間が加わりました。「APIMLIB(エイピムライブラリー)」という新製品です。これまでのAPIMの主力は、APIM5といってエクセルのアドイン関数として提供するものでしたが、これにソフトウェアライブラリー版が加わったわけです。以下、これまでのソフト開発の経緯を振り返りながら、APIMの進化を説明しようと思います。

 

1. 初代APIM

APIMの最初のバージョンが世に出たのは、2004年の春のことでした。当時は、APIMという商標登録ができていなかったので、「適正在庫水準算出システムwithAPIM」という商品名でした。①リードタイム変動対応、②間欠需要対応、③未来在庫対応の基本ロジックを基に、発注点方式の安全在庫と発注点を対話式に算出するシンプルなアプリでしたが、日経産業新聞第1面に大々的に報道されたことから大きな反響を呼び、順調な滑り出しとなりました。

2. APIMPro

同年末に、エクセル・アドインバージョンの「APIMPro」をリリースしました。安全在庫と発注点を計算するAPIM関数を、エクセルのアドイン関数として提供するバージョンで、これにより数千~数万品目の適正在庫を一括計算できるようになりました。

3. APIMⅡ

翌2005年春に、提供関数を増やした「APIMⅡ」をリリース。周辺関数として、非ゼロ平均や非ゼロ標準偏差、需要頻度等を計算する関数を充実させました。また、定期発注方式の安全在庫算出において、需要予測誤差をパラメータとして採用するようになったのもこのバージョンからです。

4. APIMⅢ

数値計算ロジックの最適化により、従来比40倍の高速化を実現するバージョン「APIMⅢ」をリリースしました。APIMⅡリリースから3年を経た2008年冬のことです。同時に関数体系を抜本的に入れ替えて、発注方式を安全在庫算出関数のパラメータとして指定する方式から、発注方式別の安全在庫算出関数を独立して提供する方式に切り替えました。対応する発注方式として、発注点方式、定期発注方式、定期調達方式、MRP、かんばん方式をサポートし、更に特定時点目標在庫算出関数も提供しました。

5. APIM4

2011年春、ピカソロジックを実装して定期発注方式の安全在庫の考え方を根本的に変革したバージョン「APIM4」をリリースしました。ピカソロジックとは、安全在庫には複数種類のものがあることの発見から生まれた技術で、従来から知られていた需要変動対応安全在庫以外に、需要予測誤差吸収安全在庫、納入過不足対応安全在庫、歩留まり変動対応安全在庫、納期遅れ対応安全在庫等の複数種類の安全在庫をそれぞれ別個に精密に計算し、その後確率的に重ね合わせ計算して最終的な安全在庫を算出します。

6. APIM5

翌2012年春、在庫適正化実現時の予想平均在庫である理論在庫算出関数と、需要予測関数を追加した「APIM5」をリリースしました。同時に、リードタイム中平均需要量の算出ロジックを根本的に見直すことで、全ての安全在庫算出関数の計算精度を大幅に向上させました。これにより、適正在庫算出技術は完成の域に達し、後はソフトウェア面での改良を目指すのみとなりました。

7. APIMLIB

今春、DLL(ダイナミックリンクライブラリ)版のAPIMをリリースしました。これは、ユーザーが使っているシステムからAPIM関数を直接コールして適正在庫を計算できるバージョンで、いわばソフトウェア部品として提供するものです。これにより、APIMを使って適正在庫基準値を再計算するメンテナンス作業が不要になり、通常はAPIMの存在を意識しなくても、生産管理システム・在庫管理システムを使うだけで在庫適正化が実現できるようになりました。

以上に示したように、適正在庫算出システムAPIMは10年の歳月をかけて着々と進化を遂げてきました。傾向として春に新バージョンがリリースされることが多かったようです。現在、複数の生産管理・在庫管理パッケージベンダーに、APIMLIBをソフトウェア部品として提供する提携交渉を進めております。近いうちに、生産管理・在庫管理ソフトを導入すると、もれなくAPIMがついてくる時代になるかもしれません。どうぞご期待ください。

第22回 フェイスブック短期連載報告

第19回でお知らせしたフェイスブック短期集中連載<在庫管理 はじめの一歩>のご報告を以下に示します。まだ読まれていない方で興味を惹かれた方はまだ記事は残っていますので、フェイスブックページにアクセスしてお読みになってみて下さい。

配信場所:http://www.facebook.com/APIM.TSC

フェイスブックページ「適正在庫の広場」

各回のリーチ数というのは、その回の記事を読んだ読者の数を、「いいね!」数は、その記事を読んで「いいね!」ボタンを押してくれた方の数です。今回の連載で、フェイスブックページ「適正在庫の広場」に「いいね!」を押してくれて読者になった方が若干増えてちょうど100人となりました。本誌の読者数と比べたらまだまだですが、メディアミックス構想がすこし前進したのではないかと思います。

【第1回】4月1日 64リーチ 7「いいね!」

「発注点を知っていますか?」

いちばん簡単な在庫管理方法である「発注点管理」について解説し、発注点の求め方と発注量の求め方を解説しました。

【第2回】4月8日 103リーチ 9「いいね!」

「安全在庫とはなんだろう」

予想から外れてしまう場合を想定して持つ在庫として安全在庫を説明しました。

【第3回】4月15日 298リーチ 14「いいね!」

「エクセルを使った安全在庫の簡単な計算方法」

エクセルを使って安全在庫を計算する方法を説明しました。

【第4回】4月22日 128リーチ 14「いいね!」

「身近なところから在庫管理を始めてみよう!」

筆者の家庭内地位向上に大いに役立った、ヨーグルトの在庫管理手法を披露しました。

今回は、全4回の連載記事中で一番好評であった第3回の記事を転載し、フェイスブックでは書かなかった関数を追加して紹介します。エクセルを使った安全在庫の計算方法を解説したのですが、あまり知られていない特殊なエクセル関数の情報が好評だったようです。

<在庫管理 はじめの一歩【3】>

エクセルを使った安全在庫の簡単な計算方法

先週は安全在庫の考え方を解説し、計算式も示しました。

今週はその計算をエクセルを使って簡単に行う方法を伝授します。

安全在庫=安全係数×√(リードタイム)×需要量の標準偏差

これが計算式でした。これをエクセルで計算するためには、エクセルの関数を使います。順を追って説明しましょう。

まず、安全係数です。「normsinv()」という関数を使います。ノーマル・スタンダード・インバースと読み、標準正規累積分布関数の逆関数の値を返す関数です。

いきなり数学でビックリさせてしまったかも知れませんが、これは覚える必要ありません。使い方だけ理解しましょう。

()の中に、サービス率の値を、例えば0.95というように入れるだけでいいのです。サービス率=0.95のときは、許容欠品率=5%となります。そうです、100パーセントから許容欠品率を引いた値を入れます。

次は、√(リードタイム)。リードタイムが3日だったら、sqrt(3)とすればいいです。ルートは、「sqrt()」という関数を使います。

最後に、需要量の標準偏差です。標準偏差は「stdev()」という関数を使います。()の中に日毎の出荷数を列挙したセル行(または列)を入れれば標準偏差が計算されます。

以上をまとめると、

安全在庫=normsinv(サービス率)*sqrt(リードタイム日数)*stdev(出荷データ)

となります。

さあ、レッツ・トライ!!

 

最後に、お待ちかねの追加関数を紹介します。

それは、発注点を一発で計算してくれる関数 norminv()です。正規分布の累積分布関数の逆関数の値を返します。パーセント点計算関数とも言います。カッコの中の引数は次の通りです。

発注点=norminv(サービス率,需要量の平均×リードタイム,需要量の標準偏差*sqrt(リードタイム))

この関数式からわかるように、発注点の本質はパーセント点です。パーセント点というのは、その値以下になる確率が指定した値になるという点です。指定した値とは上の式でいうとサービス率のこととなります。なんとなく、はは~んわかったぞ!という声が聞こえてきそうですね(^_^)。