第15回 工学的時間論から「はっぴぃ分布仮説」へ

先月号で、APIMの研究開発過程で生まれた発見がもとになって、工学的時間論の研究が始まったことを記しましたが、今月はその工学的時間論研究での発見から生まれた幸福論をご紹介いたします。

「はっぴぃ分布仮説」といって、一人だけが幸せになるのではなく、できるだけ大勢の人々がしあわせになる方法を、理論的(数学的)に解明しようと、筆者が大まじめで考えて考案した方法論です。数学の公理系と同じく、最後まで証明不能な命題が3つ残りましたので、それらを仮説として示すかたちにまとめました。2009年の今頃の季節から考え始めてバージョンアップを重ね、現在ではVer2.6 まできております。

コンサルタント仲間からは、「この種のテーマを科学的にアプローチしようとするところが、故ゴールドラット博士を思い起こさせる」とお褒めいただき、ソフトウェア業界の仲間からは、「Ver2.6という数字がなかなかほどよく、これからの発展に期待をいだかせる」などと訳のわからない評価をいただいており、なかなかに好評を博しております。

こんな、内容です。

(科学からの原理)世界は確率現象から成り立っており、その全事象は確率分布で表される。

(哲学からの原理)時間は鼓動である。時間は空間の延長に考えるものではなく、世界の構成要素のひとつひとつが刻んでいる鼓動の回数をカウントすることで、その長さと速さが測られるようなものである。

(宗教からの原理)いのちはつながっている。

 

<確率分布仮説>生命は動的に変化する固有のはっぴぃ分布をもち、これにより幸せなことが起こる確率が決まる。

<美の仮説>心に美のイメージを抱くと、自分のはっぴぃ分布は良化される。逆のイメージを抱くとはっぴぃ分布は悪化する。

<影響力仮説>誰でも、心に願うことで他者のはっぴぃ分布に影響を及ぼす力を持っており、その力の大きさはその人が他者から受けている影響力の総和に比例する。

 

[スキ!の法則]

①好きな人の幸せを願うと自分も幸せになる。

②好きなコト・モノを考えたり行ったりすると幸せになる。

③笑顔・感謝は幸せを生み出す。

[心の自由の法則]

④心は自由なので、どんな姿であっても、ありのままの自分を認めてよい。また、他者に対しても自由を認めよう。

⑤この世に、こうでなくちゃならない、ということはない。「ねばならない」、「こうあるべき」、にしばられる必要はない。

[スルーの法則]

⑥あわないヒト・モノ・コトはスルーするにとどめておき、お互いを尊重し合おう。

⑦自分を攻撃してくる敵に対しても、無視することでスルーするのが一番である。

[今が大切!の法則]

⑧確かに存在するのは‘今’だけであり、過去は記憶・記録の中に、未来は想像・予測のなかにしか存在しないものであるから、今を大切にしよう。

[法則の法則]

⑨はっぴぃ分布の法則を考えること自体ではっぴぃになる。

 

「原理」は世界に対する理解の先端的な前提知識、「仮説」は証明不能な命題、「法則」は3つの仮説と経験的な知識とを組み合わせた論理演算により証明可能な知見となっています。

例えば法則①は、好きな人のことを考えるだけで心がきれいになるので、美の仮説により自分のはっぴぃ分布が良化される。さらに自分が好意をよせている相手からは好意を返される可能性が高いので、自分のはっぴぃ分布を良化するような影響力が及ぼされる。そして影響力仮説により相手の影響力も増強されている。というように、3つの仮説を出発点に、いろいろな法則が証明されたり、説明されたりして、更に自分なりの経験則との組み合わせでもっとたくさんの法則を生み出していくことも可能な体系になっています。

今秋、代表的な9つの法則をもとにした仮説の実践ストーリーを「はっぴぃ分布の法則」という絵本にして電子出版いたしました。電子書籍店のパブーから無料ダウンロードできます。仮説の詳細な解説も書いてありますので、ご興味のある方は是非ご覧になってみてください。

ダウンロード:http://p.booklog.jp/book/57301

FBページ:www.facebook.com/happybmp

読者のみなさんに、はっぴぃがおとずれますように!

第14回 リードタイムから工学的時間論へ

適正在庫を考えるときに重要なファクターの1つにリードタイムがあります。生産リードタイム、調達リードタイム、計画リードタイムなどなど、いろいろなリードタイムがありますが、要は時間の長さです。

時間をどう扱うかということが、適正在庫を考えるときにとても大切になります。「APIM」の研究開発の過程で、時間概念について非常に重大な発見がなされました。それは、「時間は離散量である!」という発見です。数学的には数量には連続量と離散量があるということが、まずあるわけですけど、整数・自然数は離散量、実数は連続量と考えておいてください。つまり、飛び飛びの値をとって中間の値がないのが離散量で、あるのが連続量ということになります。

APIMの開発をすすめる過程で、実際に生産管理の現場で適正在庫を計算することを繰り返していくと、リードタイムのカウントの仕方についての発見がなされました。それは、例えば、調達リードタイムの値は、3日とか4日とか5日とかの飛び飛びの値しかとりようがなく、中間の3.4日とか3.1日という値をとることはできないのだということです。

安全在庫の古典理論計算式を使うときに、ルートの中のリードタイムの値に、3.5などといった値を使おうとする例があるのですが、それは完全な誤りです。もし、3.5日という値に意味があって、その値をとったときの安全在庫を計算する必要があるのなら、リードタイムをカウントする単位を半日にしてリードタイムの値を測定すべきなのです。

つまり、リードタイムは測定単位を決めることが重要で、測定単位を決めたら、その単位に基づく離散値でカウントするべき値なのです。

そして、リードタイムの測定単位に合わせて、需要のとらえ方も決まってきます。リードタイムの測定単位が1日であるならば、出荷数は日単位の値の平均と標準偏差を測定する必要があります。

さらに、サービス率を決定する際に参考とすることの多い、現状の欠品率のカウント方法も、リードタイムの測定単位に合わせる必要があります。欠品には発生回数をカウントする場合と、欠品数量をカウントする場合があります。

発生回数でカウントする場合、つまり欠品発生率を測定する場合には、欠品の起こった期の数を測定対象期間全体の期の数で割った値が欠品発生率になります。その時の期というのは、リードタイムの測定単位が1日であれば日になるし、1週間であれば週になるのです。

一方、欠品数量でカウントする場合は、ある期間の必要数量に対してある期間の供給数量がどれだけ不足したかの値が欠品数となるわけですが、その期間はリードタイムの測定単位になるのです。

以上のように、リードタイムという時間値が離散値になることがわかったのですが、そこから更に考えを発展させて、「もしかしたら、時間そのものが離散量なのでは!」ということに気がついたのです。物理学の世界をのぞいてみると、プランク時間という時間の最小単位を示している学説もあるようでした。これに力を得て、更に時間について考えをすすめて生まれた考えが、「時間は鼓動・振動である」という考え方です。

アインシュタインの相対性理論では、縦・横・高さの3次元の空間に時間軸を加えた4次元時空を想定しているのですが、この前提から導き出されるのは、過去・現在・未来が(言葉として矛盾していますが)同時に存在するということです。その結果、タイムマシンや多重世界の可能性が出てきてしまい、筆者にとっては、どうにも同意できずに、気持ちの悪い思いをしてきました。

ここで、時間を空間の延長に考えるのではなく、空間とは別ものの、鼓動・振動であると考えるとすっきりするのです。同様の考え方は、アインシュタインと同時代の、ベルクソンという哲学者も主張していて、時間を空間の延長に考えてはならないと力説しています。

筆者は、時間の本質は鼓動・振動であるとする考え方に、「工学的時間論」という名前をつけて、適正在庫の研究のかたわらで、日々、時間の本質について考察をすすめています。在庫理論の属する経営工学の研究の中から生まれた仮説であるので、工学的と称しているのです。

20世紀は、アインシュタインの世紀であったといってもいいでしょう。核兵器も、その平和利用としてすすめられた原発も、源流はアインシュタインだからです。しかし、21世紀の我々は、ヒロシマ・ナガサキを経たにもかかわらず、フクシマを経験してしまったのですから、なんとかアインシュタインを乗り越えていかなければならないでしょう。

その手がかりの一つに、工学的時間論がなればいいなぁと残暑の中で夢想する筆者でした。

第13回 フェイスブックから反響いただきました!

7月号のお休みオークションの記事に、フェイスブック(FB)から反響をいただきました。ツイッターには着々とフォロワーが増えているのですが、フェイスブックでご意見いただいたのは初めてでしたので、投稿者の川名さんのご了解をいただいてご紹介いたします。

こんなかたちで読者の方から反響をいただくのはとてもうれしいことであります。皆さんも遠慮なさらずにどんどん感想をお寄せくださいませ。

このコメントをいただいた川名さんとは実は旧知でありまして、フェイスブックでは最近お友達になった仲です。銀行経営に携わった後、現在はコンサルタントとして民間企業の経営指導をされている方で、そんな大先輩からお休みオークションに関心があると言われてとても勇気づけられました。

この連載は、初めからインターネット・コミュニケーションとの連携を目指していまして、ツイッターでフォローしていただいたり、フェイスブックのページを購読して頂いて、そこで読者の方々とのホットな交流をしたいと思っていました。 記事の感想でも、技術的なご相談でも、APIMソフトの機能追加のご要望でも、なんでも結構ですので、是非ご意見をお寄せくださいませ。

ご意見をいただきましたら、今回のように必ずレスをつけて、ご了解いただけましたら、記事に載せて他の読者の方々にもご紹介させていただこうと思っております。

ツイッターやフェイスブックというのは、SNSという範疇のインターネット・サービスですが、大きな可能性を秘めていると思っています。筆者は、同姓同名の方がいないので名前で検索するとすぐに見つかるため、クライアントの現場スタッフの方々からFB友達申請をいただくことが結構あります。そんなときも必ず友達承認をして、お友達になってしまいます。

最近は、サーフィンに行ったり、映画を観に行ったりといった活動が知れ渡り、電話相談を受けたときに、「あれ、今日は先生サーフィン行かないんですか?」などとからかわれることもあるのですが、それもまた楽しです。

またつい最近のことですが、この連載にいつも楽しいイラストを描いて下さっている神林光二さんともFB友達になりました。そのおかげで神林さんはイラストだけでなく、「おもしろ工作」などというとても面白いことをされていることがわかり、こんな面白い方と一緒に仕事ができて幸せだな~と思いました。なので、今月のイラストはお題は出さすに、好きな絵を描いていただくことに致しました。よろしく~!!!

第12回 ヒッグス粒子発見!

むかし学校で習った、万物は原子からできているというのは間違いで、E=mc 2でエネルギー換算すると、普通の物質(原子)は全宇宙のたった4%しかないのだそうです。他の多くは、目に見ることのできない暗黒物質(23%)と暗黒エネルギー(73%)が占めるのだと。

7月初めに、欧州原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を使った実験で発見されたというヒッグス粒子は、暗黒物質と暗黒エネルギーのお仲間なのだそうで、その存在を仮定しないと宇宙の成り立ちが説明できないという理由で、あるはずだという仮説が示されているものです。今回、ヒッグス粒子が本当に存在することが実証されたわけで、これで暗黒物質も暗黒エネルギーも本当に存在するのかもという気になります。

筆者は、昔学校で勉強した「波動」がどうにも腹の底から理解できなかったのですが、暗黒物質があると考えるとすっきり理解できるようになりました。海の波は海水の振動だし、音波は空気振動です。振動を伝達するものがあって存在するというのが波に対する直感的な理解です。

ところが光や電磁波は物質の存在しない真空中を伝わってくるというのが納得できなくて、波動を理解する気になれなかったのです。昔の人は宇宙にはエーテルが満ちているという仮説を立てていたそうですが、それはすでに否定されています。ところが、宇宙には暗黒物質や暗黒エネルギーが遍在するときいて、これがエーテルのように振動を伝播すると考えれば、すっきり理解できるではありませんか。

学校で勉強してから40年近くの間、このもやもやが消えず気持ちの悪い思いを続けていたのですが、ここへきてやっとすっきりすることができました。とはいっても、暗黒物質や暗黒エネルギーを昔のエーテルと同様に考えることについて、専門の物理学者の方々の見解はどうなのか知りませんし、実験が間違いであったと後からわかることもありますから、あくまで筆者の個人的な理解であることはお断りしておきます。

何十年もの間、納得できなくて解けなかった疑問が、すっきり解決することほど、爽快なことはありません。波動現象の理解は、世界の物理学者のおかげでしたが、自力で理解に到達したこともあります。それが、生産管理のメカニズムに対する理解です。

筆者が生産管理学に出会ったのは大学です。専門が経営工学でしたので、生産管理は本流中の本流で、優秀な同級生達は競って生産管理研究室に入っていきました。筆者は、その入り口のところで、生産管理のメカニズムがどうにもわかった気になれなくて、実は敬遠しまくっていました。ところが、メーカーに就職して配属されたのが生産技術研究所の生産システム研究部門だったのが運のつき、独立後もおなじ分野を専門として、この世界に30年は漬かり続けています。

実はその間ずっと、気持ちの悪い思いを抱き続けていたのです。ホントの話です。生産管理の場合、波動とは違って、常に自分の頭で考え続けていました。途中から安全在庫をテコに考えるようになったことが大きかったのですが、数年前にコトリと音を立てるように、もやもやした疑問が氷解しました。

そのきっかけが、ピカソロジックに基づく定期発注方式の安全在庫の理論の発見です。数百冊・数百編の書籍や学術論文を読んだことは、あまり役に立たなかったように思います。理解の補助となったのは、現場の生産管理担当者とのディスカッションが一番大きく、そのときに脳内に仕込んだ問題・課題をずっと考え続けて、それが絵画展や映画を観に行ったり、サーフィンをしているときなどに、ヒラメキが起こって解決することが多かったように思います。

その内容は、伝統的な生産管理の学問で言っていることとは異なるもので、筆者の頭の中に描かれる生産システムの見え方は、まだ誰も見たことのない姿をしています。そんな見え方ができるため、たいがいの生産管理システムの問題と解決方法を、シンプルに見通すことができるようになりました。

いつか生活の心配がいらなくなったら、これまでの生産管理の教科書全てを書き換えるような本を出版しようかなと思っていますが、それまではAPIM導入企業だけにコンサルを通じて伝授していき、この連載でもご紹介していきます。楽しみにしていてくださいませ。

第11回 APIM新バージョン!

適正在庫算出システムの新バージョン、「APIM5」が完成しました。今回はホットニュースをお伝えします。

APIM5の一番の特長は、新概念の需要予測機能を取り入れたことです。どこが新概念かというと、予測に時間軸を追加した点です。この点を順を追ってご説明いたします。

<需要予測の基本> 

まずは需要予測はどう行うのかについて、基本的な考え方を示します。大きく分けて次の3つの柱があるといえます。

①過去実績の延長上に時系列変化として予測

②天候やイベント等との相関関係で予測

③個別取引案件予想の積み上げで予測

①の時系列変化予測は需要予測ソフトでおなじみの機能で、上昇局面にあるのか下降局面にあるのかのトレンド予測と季節性および周期変動の予測が基本的なものです。過去の需要実績データを統計的に解析して将来動向を予測します。

②の相関関係による予測は、夏季の気温予想に基づいてアイスクリームの販売予測を立てたり、お祭りの日のお酒の売上げ増を予測したりする類いの需要予測です。

最後の個別取引案件予想に基づく需要予測とは、営業マンが抱えている引き合い案件をその成約確率を織り込みながら売上げを予測するというやり方です。リピート顧客の再注文の予測などは比較的容易な部類に入ります。

<ここでもピカソロジック>

以上の予測をそれぞれ行いながら、最終的に集計する必要があります。APIMの需要予測機能では、ここに安全在庫算出技術として開発されたピカソロジックを適用しています。

将来の需要を確率分布としてとらえ、確率分布の重ね合わせ計算技術であるピカソロジックを適用するのです。ここで、排他的重ね合わせ計算技術と非排他的重ね合わせ計算技術の使い分けノウハウが重要なポイントとなります。

<時間軸の考え方とは?>

集計計算を行う際にキーとなるのが時間軸の概念です。将来需要の確率分布は単位期間当たり需要の確率分布として把握され、それを供給対象期間内需要の確率分布として集計することになります。ここで供給対象期間とは、どの期間に向けて製品や部品、材料を生産・調達するのかというターゲット期間を指します。そしてその期間の初めと終わりと長さは固定でないことがままあります。予測すること自体が目的の需要予測では、カレンダー通りに月単位や週単位で区切った期間の需要を予測すればいいのですが、生産管理・在庫管理のために使う需要予測では、リードタイムの不確実性により、その期間が一定・固定とならないからです。

ここで、APIMのコア技術である、リードタイム変動に対応する安全在庫算出技術が活きてくるのです。変動リードタイムを変動供給対象期間に置き換えて、その期間中の平均需要を計算することで需要予測を行うというのが、新しい発想であり、新しい技術であります。

ちょっと考えると、平均リードタイムと単位期間当たり平均需要をかけ算することで簡単に求められそうに思えるのですが、実はそうはならないからです。このことは、連載第8回で述べたオランダ人SCMスタッフから教えていただいたことです。あのときのバトルが新概念の需要予測技術として結実したのです。

<予測のための予測から使える需要予測へ>

以上のような需要予測を行うことにより、安全在庫算出技術との親和性も向上しました。APIMでは需要予測誤差を吸収する安全在庫を求めるのですが、その際に確率分布としての需要予測がうまくフィットするのです。

当初、APIMでは需要予測を完璧に当てようとするのはナンセンスであると公言して、予測誤差の発生を前提に安全在庫を算出する技術を深掘りしていたのですが、結局それが新概念の需要予測技術を生み出すことになりました。

さらに、安全在庫算出過程で使われる平均需要の算出精度を向上させることで、安全在庫算出精度の大幅な向上をもたらす結果ともなりました。

この記事が読者の目に触れる頃には、APIM5はリリースされていると思います。どうぞご期待ください。