第18回 いまだに科学的・理論的説明ができないものについて

世界には、いまだに科学で証明できないことや、理論的な説明がなされていないものごとがまだまだいっぱいある。と、いつも筆者は公言しているのですが、「それは意外です!」という反応をされることが多くあります。特に、科学や論理的思考から遠い生活をされている方々からのほうが多いようです。

コンピュータやインターネットを使いこなして、数学を駆使した理論研究を仕事にしている、バリバリの理系人間だと筆者は思われているので、そう思っている方からは不思議な人間だと受けとめられているようです。

逆に、理系の研究者や技術者同士の会話では、そういうことは至極当然であるとの共通認識があることが多いので、びっくりされることはあまりありません。

実際、エンジニアとしての自分自身の経験でも、「理論的に説明はつかないのだけど、実際にやってみると役に立つんだよな~」という技術や手法はたくさんあります。一番有名なのは、飛行機が空を飛ぶ原理。これにはいまだにちゃんとした理論説明ができていないのだそうで、経験的にこんなふうに設計すると空を飛んでしまうというのが正直なところなのだそうです。

筆者に身近な技術でいうと、遺伝的アルゴリズムがあります。これは組み合わせ最適化問題の最適解を探索するコンピュータアルゴリズムの1つです。組み合わせ方法を入れ替えていろいろな組合わせを作り出して最適解を探索するときに、あらゆる組合わせを端から順番に調べ上げていくと天文学的な組合わせ数になってしまって、とても実用的な演算時間内には解にたどり着かないので編み出された手法です。

自然界に存在する遺伝現象を真似て、DNAの交配(?)や突然変異を起こして組み合わせを作り出すのが、遺伝的アルゴリズムなのですが、なぜこのやり方でうまくいくことがあるのかは、完全に理論的な説明は出来ないのですが、けれども、なぜかうまくいくことが多いのです。

実は、筆者は気功の施術治療を受けることがあるのですが、その治療院でこんな話を聞きました。筆者がお世話になっている気功師の先生のそのまたお師匠さんは、田中角栄元首相が倒れたときに当時の中国政府が治療のために日本に派遣した、当代随一のゴッドハンドと言われた張先生という気功師で、その後、日本に移住して各地で治療施術をおこなっています。著名な方ですが、その張先生がおっしゃるには、「自分でも、なぜ気功の施術をすると病気が治るのかわからないのだが、何千年も受け継がれてきた伝統的な手法を実施すると、不思議なコトに治っちゃうんだよなぁ」ということなのです。

こう考えると、世の中には科学的・理論的説明はいまだにつかないけれど、役に立っている技術や手法がたくさんあるのだということに気づかされます。技術者は仕事の経験からこのことをよく理解しています。筆者の専門の生産管理・在庫管理の技術者も、現場で話をお聞きすると、自分では理屈は説明できないけれど、役に立っている手法や方法を独自に編み出されて活用されている、ということが多くあります。大学を出て間もない頃は、筆者もそういう経験手法をあなどって、学校で習った理論手法にしがみつくことが多かったのですが、ある経験をしたことから、経験的手法を尊重するようになりました。

それは、専門技術の大先輩でもある上司から、適正在庫を理論計算するときに、需要データのすべてを舐めろと言われて、実際に1週間ほどかけて毎日毎日出荷実績データを読み込んだ経験です。紙に印刷して積み上げると5、6メートルほどの分量になるデータをていねいに読み込んでいくと、次第に需要分布の姿かたちのイメージが頭の中に立ちのぼるようになってきたのです。

その時に見つけた体感覚とでもいうべきものはずっと残っていて、適正在庫算出技術APIMを開発するときに大いに役立ちました。APIMには“APIM0”という標準原器に相当する需要分布視覚化システムがあって、実時間で適正在庫の近似値を計算するアルゴリズムの実験検証過程で活用してきました。まず最初にこの視覚化システムが出来上がったから、後のAPIM5に至る技術が生み出されたのだといっていいものなのです。

現場の経験則を尊重したことから発見された技術もあります。APIMの特長の1つである、間欠需要対応安全在庫の発想は、まさに経験的手法を理論的に解明しようとして生まれたものです。

ということで、科学的・理論的な説明がつかないといわれているものごとが、世界にはたくさん残されていることを素直に認めて、その理論解明にチャレンジしようとすると、宝の山が見つかるという筆者の実感を、今月のまとめとしたいと思います。

第17回 リードタイムは無理な短縮より、安定させるべし!

リードタイム短縮は大切な改善活動ですが、それ自体が目的となってしまうと方向を誤ることが多いようです。

多くの場合、リードタイム短縮=在庫削減として、限りなくリードタイム短縮を目指す傾向があるようですが、これは完全なる誤りです。なぜかというと、在庫削減はリードタイムを短縮するだけで実現できるような単純なものではなく、逆に無理なリードタイム短縮で在庫増を招くことすらあるからです。

このことを、適正在庫算出システムAPIMを活用した科学的・定量的なシミュレーションで示していきましょう。次のような条件での発注点を求めてみます。なぜ発注点かというと、リードタイムによって決まる適正在庫水準の指標値としては、発注点が最もふさわしいからです。所定の需要およびリードタイム条件下における在庫水準を示す値とお考え下さい。APIM関数の中の発注点算出関数で、一発で算出することが可能です。

部品調達を想定して、リードタイムとしては調達リードタイムを考え、需要としてはラインへの部品投入を考えます。どちらも確率分布でとらえるのがミソです。

<適正在庫算出の需要条件>

需要平均 :100個/ 日

需要標準偏差 : 30

需要頻度 : 50%

このような需要条件下で、以下のようにリードタイム分布を変えていく実験を行います。

 

1.(出発点)5日:80% 10日:20%

リードタイム分布は、調達リードタイムが5日で納入される確率が80%で、時々、5回に1回の確率で納期遅延を起こして、調達リードタイムが10日になるということを意味しています。リードタイムを分布でとらえることで、サプライヤーからの納期遅延率を表現することができるのです。納期遅延率20%です。

APIMの発注点在庫算出関数、apimrop5()を使って算出した、この条件における適正在庫水準は次のようになります。

適正在庫水準:618個

2.(LT短縮)3日:80% 10日:20%

次に、ここからリードタイム短縮を図った場合に適正在庫がどう変わるのかを試算します。リードタイムを2日短縮して、3日にした場合を考えます。この場合でも納期遅延は同じような確率で起こると考えます。すると、

適正在庫水準:615個

となります。在庫削減率にして、わずか0.5%です。血のにじむようなリードタイム短縮努力の結果が、わずかな在庫削減であるなら、そんなムダな努力はしないほうがいいと思いませんか?

さらにいうと、リードタイム5日を3日に短縮する(させる)ことで無理をさせてしまい、納期遅延の発生確率が高まることがあるかもしれません。この実験では、納期遅延率は変わらないとして計算しましたが、実際には増加する可能性が高いわけです。

3.(LT安定)5日:90% 10日:10%

次に、無理なリードタイム短縮は行わずに納期遅延を減らして、リードタイムを安定させたらどうなるかを実験します。リードタイム分布を変えて、納期遅延率を、20%から10%に減らした場合となります。すると、

適正在庫水準:538個

となり、13%もの在庫削減が実現されます。

これなら、無理にリードタイム短縮を図るよりも、リードタイムを安定させて納期遅延率を下げた方が在庫削減効果は大きいのだということがわかりますよね。

でも、この場合は平均リードタイムで考えると、リードタイムを短縮したことになります。ケース1の平均リードタイムは6日、ケース2は4.4日、ケース3は5.5日であるからです。

4.(LT安定+延長)6日:99% 10日:1%

そこで、サプライヤーに対して納期を1日伸ばして6日でいいから、そのかわり納期遅延のおこる確率を10%から1%へと大幅に下げてもらうケースを考えます。この場合、平均リードタイムは6.04日と長くなりますが、

適正在庫水準:531

となって、在庫が削減されることが示されました。

さてどうでしょう。最先端の適正在庫算出技術APIMを使うことで、リードタイムはやみくもに短縮するのではなく、安定させた方がいいのだとおわかりいただけたでしょうか。

第16回 不動在庫は責任追及ではなく、再発防止策の検討を!

 

在庫適正化の相談を受けて訪問し、在庫状況を拝見すると、ほぼ 100パーセントの企業で不動在庫を抱えています。不動在庫の定義は各社さまざまですが、おおむね半年ないしは1年以上出荷のない製品としているようです。APIMを使って適正在庫量を算出すると、これとの比較に基づいてより正確な不動在庫のあぶり出しが可能になりますが、基本的な考え方は変わりません。

不動在庫の問題を指摘するのは、取引先銀行や会計事務所などお金の管理関係でおつきあいのあるところであることが多いようです。その際に窓口になるのは経営者や経営スタッフであることがほとんどで、あとはトップダウンでの在庫削減指示となるようです。

不動在庫をなんとかしようという活動を進めるときに、一番まずいパターンは責任追及から始めることです。この不動在庫は誰の責任で発生したのだ!と後ろ向きの活動になってしまうと、社内の人間関係にヒビが入ってしまいますし、なにより後ろ向きなので、やる気がおきません。

大切なのは、今後は不動在庫が発生しないようにするためにどうしたらいいかを見いだすことです。現に今、発生してしまった不動在庫の処分も、できるだけ前向きの活動になるように工夫が必要です。以下、その活動の手順を示します。

|不動在庫への対処方法

 

0. 実態把握

まずやるべきことは、自社の不動在庫がどこにどれくらいあるのかをきちんと把握することです。
不動在庫の定義を決めて、該当する在庫の数量をカウントし、その金額を集計します。

 

1. 原因調査

次にやるべきことは、不動在庫の発生してしまった原因を調査することです。現場にヒアリングすると、最初は「そりゃ、決まってる!○○のせいで不動在庫になるものばかりだ!!」などと言われることが多いのですが、根気よくていねいに原因のパターン分類をして列挙することです。筆者のこれまでの経験では次のような原因が多いようです。

 

・急に売れ行きが減ってしまって売れ残った

・必要量に対して生産・調達の最小ロットが大きすぎる

・需要予測が外れて売れ残った

・需要予測を的確にしないで、適当に発注数を決めたので売れ残った

・これはいけそうだとの予測から大量に在庫確保を狙ったら見事に見込みが外れた

etc…

 

2. 原因別不動在庫金額・件数の集計

上記で原因パターンを列挙したら、そのパターン毎に不動在庫が何件あって、その金額はいくらになるのかを、集計してグラフに表します。この場合は円グラフをお勧めします。こうすることで、自社の不動在庫発生原因の傾向が目で見えるようになります。

 

3. 再発防止策の検討

不動在庫の発生原因の傾向がわかったら、次はその対策を考えます。
発生件数や金額の大きい原因から重点的に検討を進めます。

このときに注意すべきことは、積極的に、あるいは投資的な動機から確保した在庫が、予測外れによって発生してしまったような不動在庫は、仕方ないとあきらめることです。再発防止をきちんとしなければならないのは、管理不十分で発生してしまった不動在庫です。

発注数を適当に決めてしまったとか、売れ行き動向のチェックがされていなかったなどの、不動在庫を発生させる原因は取り除きましょう。そして、不動在庫を防止する方策を検討することが大切です。

例えば、販売管理システムと生産・在庫管理システムを連動させて、出荷量が減少傾向を示したらアラートを出すような機能を付け加えるとか、需要予測数を入力しないと、発注数を確定できないようにして予測行為を明確化するなどの、情報システムに歯止め機能を持たせることが有効です。

 

4. 在庫処分方策の検討

不動在庫化してしまったものは、ほとんどのものが、放っておいたら
いつまでも動かずにいるものですから、なんらかの処分が必要です。

経年劣化するような製品や、商品寿命がきまっているようなものは、期限が切れたら廃棄する必要があります。廃棄期限が来る前に早く売り切らなくてはならない品目を営業部門に伝えて、値引きやキャンペーン、セールなどの誘導施策を行いましょう。

 

以上、不動在庫への対処方法を述べました。基本は再発防止を考えることです。
決して責任追及にならないように気を配って、頑張りましょう。

 

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適正在庫のパイオニア|勝呂隆男(すぐろ たかお)

◼︎資格
文部省科学大臣 技術士(経営工学部門 39376)
経済産業大臣登録 中小企業診断士(現在休業中)
DETAILED WORK-FACTOR (SMC)

◼︎公職・所属
(1999-2005)   早稲田大学 招聘講師
(1999-)      中小企業大学校 講師
(1999-2000)   職業能力開発総合大学校 非常勤講師
(2004)    東京工業大学 招聘講師
(2004-2005)  経済産業省 戦略的基盤技術力強化事業中間評価委員
(2014-)               経済産業省委託 日本ロジスティクスシステム協会事業
「次世代物流システム構築事業」コンソーシアム委員


 

 

 

 

第15回 工学的時間論から「はっぴぃ分布仮説」へ

先月号で、APIMの研究開発過程で生まれた発見がもとになって、工学的時間論の研究が始まったことを記しましたが、今月はその工学的時間論研究での発見から生まれた幸福論をご紹介いたします。

「はっぴぃ分布仮説」といって、一人だけが幸せになるのではなく、できるだけ大勢の人々がしあわせになる方法を、理論的(数学的)に解明しようと、筆者が大まじめで考えて考案した方法論です。数学の公理系と同じく、最後まで証明不能な命題が3つ残りましたので、それらを仮説として示すかたちにまとめました。2009年の今頃の季節から考え始めてバージョンアップを重ね、現在ではVer2.6 まできております。

コンサルタント仲間からは、「この種のテーマを科学的にアプローチしようとするところが、故ゴールドラット博士を思い起こさせる」とお褒めいただき、ソフトウェア業界の仲間からは、「Ver2.6という数字がなかなかほどよく、これからの発展に期待をいだかせる」などと訳のわからない評価をいただいており、なかなかに好評を博しております。

こんな、内容です。

(科学からの原理)世界は確率現象から成り立っており、その全事象は確率分布で表される。

(哲学からの原理)時間は鼓動である。時間は空間の延長に考えるものではなく、世界の構成要素のひとつひとつが刻んでいる鼓動の回数をカウントすることで、その長さと速さが測られるようなものである。

(宗教からの原理)いのちはつながっている。

 

<確率分布仮説>生命は動的に変化する固有のはっぴぃ分布をもち、これにより幸せなことが起こる確率が決まる。

<美の仮説>心に美のイメージを抱くと、自分のはっぴぃ分布は良化される。逆のイメージを抱くとはっぴぃ分布は悪化する。

<影響力仮説>誰でも、心に願うことで他者のはっぴぃ分布に影響を及ぼす力を持っており、その力の大きさはその人が他者から受けている影響力の総和に比例する。

 

[スキ!の法則]

①好きな人の幸せを願うと自分も幸せになる。

②好きなコト・モノを考えたり行ったりすると幸せになる。

③笑顔・感謝は幸せを生み出す。

[心の自由の法則]

④心は自由なので、どんな姿であっても、ありのままの自分を認めてよい。また、他者に対しても自由を認めよう。

⑤この世に、こうでなくちゃならない、ということはない。「ねばならない」、「こうあるべき」、にしばられる必要はない。

[スルーの法則]

⑥あわないヒト・モノ・コトはスルーするにとどめておき、お互いを尊重し合おう。

⑦自分を攻撃してくる敵に対しても、無視することでスルーするのが一番である。

[今が大切!の法則]

⑧確かに存在するのは‘今’だけであり、過去は記憶・記録の中に、未来は想像・予測のなかにしか存在しないものであるから、今を大切にしよう。

[法則の法則]

⑨はっぴぃ分布の法則を考えること自体ではっぴぃになる。

 

「原理」は世界に対する理解の先端的な前提知識、「仮説」は証明不能な命題、「法則」は3つの仮説と経験的な知識とを組み合わせた論理演算により証明可能な知見となっています。

例えば法則①は、好きな人のことを考えるだけで心がきれいになるので、美の仮説により自分のはっぴぃ分布が良化される。さらに自分が好意をよせている相手からは好意を返される可能性が高いので、自分のはっぴぃ分布を良化するような影響力が及ぼされる。そして影響力仮説により相手の影響力も増強されている。というように、3つの仮説を出発点に、いろいろな法則が証明されたり、説明されたりして、更に自分なりの経験則との組み合わせでもっとたくさんの法則を生み出していくことも可能な体系になっています。

今秋、代表的な9つの法則をもとにした仮説の実践ストーリーを「はっぴぃ分布の法則」という絵本にして電子出版いたしました。電子書籍店のパブーから無料ダウンロードできます。仮説の詳細な解説も書いてありますので、ご興味のある方は是非ご覧になってみてください。

ダウンロード:http://p.booklog.jp/book/57301

FBページ:www.facebook.com/happybmp

読者のみなさんに、はっぴぃがおとずれますように!

第14回 リードタイムから工学的時間論へ

適正在庫を考えるときに重要なファクターの1つにリードタイムがあります。生産リードタイム、調達リードタイム、計画リードタイムなどなど、いろいろなリードタイムがありますが、要は時間の長さです。

時間をどう扱うかということが、適正在庫を考えるときにとても大切になります。「APIM」の研究開発の過程で、時間概念について非常に重大な発見がなされました。それは、「時間は離散量である!」という発見です。数学的には数量には連続量と離散量があるということが、まずあるわけですけど、整数・自然数は離散量、実数は連続量と考えておいてください。つまり、飛び飛びの値をとって中間の値がないのが離散量で、あるのが連続量ということになります。

APIMの開発をすすめる過程で、実際に生産管理の現場で適正在庫を計算することを繰り返していくと、リードタイムのカウントの仕方についての発見がなされました。それは、例えば、調達リードタイムの値は、3日とか4日とか5日とかの飛び飛びの値しかとりようがなく、中間の3.4日とか3.1日という値をとることはできないのだということです。

安全在庫の古典理論計算式を使うときに、ルートの中のリードタイムの値に、3.5などといった値を使おうとする例があるのですが、それは完全な誤りです。もし、3.5日という値に意味があって、その値をとったときの安全在庫を計算する必要があるのなら、リードタイムをカウントする単位を半日にしてリードタイムの値を測定すべきなのです。

つまり、リードタイムは測定単位を決めることが重要で、測定単位を決めたら、その単位に基づく離散値でカウントするべき値なのです。

そして、リードタイムの測定単位に合わせて、需要のとらえ方も決まってきます。リードタイムの測定単位が1日であるならば、出荷数は日単位の値の平均と標準偏差を測定する必要があります。

さらに、サービス率を決定する際に参考とすることの多い、現状の欠品率のカウント方法も、リードタイムの測定単位に合わせる必要があります。欠品には発生回数をカウントする場合と、欠品数量をカウントする場合があります。

発生回数でカウントする場合、つまり欠品発生率を測定する場合には、欠品の起こった期の数を測定対象期間全体の期の数で割った値が欠品発生率になります。その時の期というのは、リードタイムの測定単位が1日であれば日になるし、1週間であれば週になるのです。

一方、欠品数量でカウントする場合は、ある期間の必要数量に対してある期間の供給数量がどれだけ不足したかの値が欠品数となるわけですが、その期間はリードタイムの測定単位になるのです。

以上のように、リードタイムという時間値が離散値になることがわかったのですが、そこから更に考えを発展させて、「もしかしたら、時間そのものが離散量なのでは!」ということに気がついたのです。物理学の世界をのぞいてみると、プランク時間という時間の最小単位を示している学説もあるようでした。これに力を得て、更に時間について考えをすすめて生まれた考えが、「時間は鼓動・振動である」という考え方です。

アインシュタインの相対性理論では、縦・横・高さの3次元の空間に時間軸を加えた4次元時空を想定しているのですが、この前提から導き出されるのは、過去・現在・未来が(言葉として矛盾していますが)同時に存在するということです。その結果、タイムマシンや多重世界の可能性が出てきてしまい、筆者にとっては、どうにも同意できずに、気持ちの悪い思いをしてきました。

ここで、時間を空間の延長に考えるのではなく、空間とは別ものの、鼓動・振動であると考えるとすっきりするのです。同様の考え方は、アインシュタインと同時代の、ベルクソンという哲学者も主張していて、時間を空間の延長に考えてはならないと力説しています。

筆者は、時間の本質は鼓動・振動であるとする考え方に、「工学的時間論」という名前をつけて、適正在庫の研究のかたわらで、日々、時間の本質について考察をすすめています。在庫理論の属する経営工学の研究の中から生まれた仮説であるので、工学的と称しているのです。

20世紀は、アインシュタインの世紀であったといってもいいでしょう。核兵器も、その平和利用としてすすめられた原発も、源流はアインシュタインだからです。しかし、21世紀の我々は、ヒロシマ・ナガサキを経たにもかかわらず、フクシマを経験してしまったのですから、なんとかアインシュタインを乗り越えていかなければならないでしょう。

その手がかりの一つに、工学的時間論がなればいいなぁと残暑の中で夢想する筆者でした。